L'Anovelién

UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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世界観設定は厄介なのです

 なぜかというと設定を詳細に決めるのはキリがないのに紙面は有限だから。作品上に使われる世界観というのは、いわば「氷山の一角」。ほとんどが無駄設定、よくても裏設定。なかなか報われません。それが作品の世界観設定というものです。

 ライトノベルは架空設定でどうにでも辻褄を合わせられることが多いんですが、やはり歴史小説や時代小説なんかは膨大な資料や史料の裏づけによって緻密に構築されているだけに苦労も多くなります。教科書に出てくるような有名武将なんかは、わりと資料も豊富だから調べるのも容易ですが、たとえば江戸時代嘉永年間の江戸下町に住む庶民の着物の流行の柄だの料理、遊びといった日常的な風俗についてなんて、そもそも研究者も少ないし、専門書の発行部数も少ない。そのため歴史・時代作家の古書店巡りは仕事のなかで大きなウェイトを占めています。数十万円の稀少本を前にして、でもその場で買わないと二度と入手できないかもしれないと本棚の前で葛藤するわけですw かといって大枚はたいて買った資料が作品にどれだけ活かせるかといえば、よくて数行、ほとんどの読者が読み流してしまうようなものだったりします。無論なんら作品に活かされることもないままの本も多いわけです。ライトノベルであっても小説の資料本なんて百冊読んで、ずばり作品に使えるのは数冊あればよしと考えるのが賢明です。

 それなら要領よく作品の見えているところだけをおいしく使ってしまえばいいんじゃないかという意見もあるでしょう。でも、そうは問屋がおろさないんですね。そういうときに限って読者は目敏く感づくんですよね。テレビゲームでもCGのクオリティが高い分には感激してくれるわけでもなく「へぇ」程度の感想なのに、だからといってちょっとでも手を抜くやいなや「クソ画質! 死ね!」と叩かれるのと同じです。神は細部にこそ宿る(God is in the details)のとおり、こだわりの世界観設定には重厚さがあり、作品に深みや情緒を与えてくれる絶妙のスパイスとなりえます。だかこそ作家は高価な資料やを買い漁ったり、遠くへ取材に出かけてでも独自の世界観にこだわってきたんですね。

 とはいえ作品のジャンルや方向性によっては、たいして重厚な世界観設定を必要としないものもあります。演劇の舞台で映画のセット並みの舞台装置を求める人がいないのと同じです。観客が求めているのは、その部分ではないので、かえって邪魔になる場合もあります。でも逆にテレビドラマで舞台のカキワリみたいな絵に描いただけの背景なんて使ったりすれば、コントみたいで妙に安っぽく感じてしまう。低予算の昼ドラの墓参りシーンなんかで「ああ、この発砲スチロール製の墓石は軽そうだな」とか思ってしまうと、もう興ざめして集中力がとぎれてしまったことはありませんか? この場合、視聴者はドラマのセットにもある程度の質を求めているということです。

 さてさて注文の多い読者を満足させるためには、作家は世界観設定を考えるときに労力(時間)と質という背反する2つを両立させないといけないことはわかりました。また「時間ならいっぱいあるんだ。好きだから苦労もいとわないぜ!」という人がいたとしても、それはそれで難解で複雑な設定になりがちなので、読者の理解の範疇を超えてしまって、読者が置いてきぼりになってしまうという深刻な問題が出てきます。だからこそ世界観設定は厄介なんです。

 世界観設定で目指すべきは、まず読者にとって「わかりやすい」「テーマを理解させやすくする」「興味をそそらせる」ものならベストであって、つぎに作者にとっても「効率のいい」「コストパフォーマンスに優れた」ものであれば万々歳なわけです。具体的にどうすればいいかというと、作家さんごとにいろいろと独自のスキルがあると思います。

 そこで4月のオフでは「読者にとってのわかりやすさ」を最優先した、それでいて発想や設定も比較的簡単にできてしまう方法を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

セカイをとりまくもの

 今回は第11回公式オフと連動させて、世界観設定を考えるときに、どういうことを考えなければならないかという注意点について書いていこうかなと思います。

 まず世界観を構築するのが必要な場合は、架空の世界を舞台にすることがほとんどで、ライトノベルの場合、8割以上は大なり小なり架空世界が舞台なので世界観構築が必要になってきます。このとき2つのケースが考えられます。まず1つは未来のSF世界と、おなじみの剣と魔法が登場するような異世界です。これは世界観設定が世界のすみずみまでくまなく行き渡っているケースですね。もう1つは世間なり一般社会に知られていないんだけど、人々の知らないところでは何かが暗躍しているといった世界観設定の影響力が限定的なケースです。

 難しいのは、もちろん大がかりな未来世界や異世界です。作品がスタートする時点のことだけではなく、それ以前の歴史などについても考える必要が出てくるからです。そして歴史を考えようとすると、必然的に人々の暮らす文化や文明、風俗習慣、宗教、民族気質なども考慮しなくてはなりませんし、それらを形成するには、その土地の気候や地理的要因、近隣諸国との歴史的関係が大きく影響しているでしょう。そして、それらによって人間の思想や倫理道徳観も異なってきます。

 例えば、砂漠のような厳しい地域で暮らす人々には大規模農業が不可能なので、あまり大人数にはなれず一族単位で遊牧生活を送ることになります。そのため家父長制度によって統率され、水も食料も限られるため厳しい掟と罰が生まれてきます。そういう民族によって崇拝される神もまた、絶対的な家父長→唯一神であり、掟=契約を重んじる性格となってゆきます。こうして登場したのがユダヤ教に始まり、キリスト教、イスラム教によって崇拝されるヤハウェ神です。そして信仰や教義から社会通念や道徳が生じてきます。キリスト教圏の欧米人が明文化された契約書や法律を絶対視する傾向も、こうした宗教観に由来しています。また火葬を嫌うのは最後の審判のときに全ての死者の復活が預言されているため、それまで遺体を保存したいという非合理的な考えに基づいています。

 一方でギリシアや日本など気候が温暖で暮らしが豊かな地域では、砂漠の民の神とは性格がまったく異なります。神は1柱ではまく、無数に存在する多神教であり、その性格も人間味にあふれています。祭や儀式を重視するけれど、一神教のような厳格な教義というものはなく、かなり曖昧なのも特徴です。そうした文化で暮らす人たちは大地の豊穣を讃える意味でも性に放埒だったりするので、禁欲的な一神教から見ると邪教に思えることも多かったわけです。

 住んでいる地域だけでも文化や人々の性質がちがうのがわかったことでしょう。それ以外にも収穫される農作物や家畜、また漁撈や狩猟で獲れるものによって料理も違ってきますし、衣服や家の構造、各種道具といったものもちがうわけですね。つまり飲み物をいれる器ひとつとっても茶碗であったり、コップやグラスであったり、杯であったりと、その地域や時代によって変遷し、しかも民族の移動や侵略、交易などにより相互に影響しあうという重層的な要因となっているわけです。

 こうしたものをイチから作者が考えてゆくのは、まず無理です! それ以上に限られたページ数で、おもしろい物語をつむぎながら、詳細な世界観設定を説明しきるのは困難を極めます。かつ一般読者もついてこれません。そんな中で、やってのけたのはトールキンの『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)くらいでしょう。トールキンはオックスフォード大学教授で言語学を専門としていたので、架空世界内の言語や歴史について事細かく設定を行うことに成功しています。ただし、そのために読み手を選ぶ作品になってしまいました。読もうと思ってすぐ途中で投げ出してしまった人も多いでしょう。

 なのでライトノベルだけでなくマンガやゲームでもイチから構築することはまずありません。たいていの場合はひな形が用意されていて、それを流用してゆきます。異世界なら前出の『指輪物語』か、それから派生していった異世界ファンタジー作品群が流用されるのが圧倒的です。読者もその作品を読む前にいくつかの類似の作品に触れていれば予備知識があるので読みやすいわけです。

 ところが作者にとっても楽で、読者にとっても読みやすくなるひな形なのですが、反面、ひな形を流用することによってデメリットも生じます。そうです、共通のひな形を使っているために、どの作品も似通ってきてしまうんです。これは問題です。そこで、どれだけ自分の作品でオリジナリティ、独自性を出すかなんですが、ひな形も使い古されてくれば派生できるパターンも主だったものは出つくしてきてきた感があります。

 では、どうすればいいかとうと、ひとつの方法としては、ひな形の大方は従来通り流用はしても、どこか一部は従来以上に完全にイチから作ってみるのがいいでしょう。そして、どこを根本的に作り直すのがポイントになってくるのではないでしょうか。オフでは、その点について、もっと具体的につっこんでいきたいと考えています。

世界観はルールだ!

 明日18日、ついに第11回公式オフを開催します。ということで今回は開催直前、最後のオフ連動特集です!

 さて今回は世界観が直接的にストーリーに与える影響について考えてみましょう。なんといっても世界観で設定される仮想世界では現実世界とは異なる常識、摂理、法則が生じてきますよね。主人公をはじめとする登場人物は、これら世界観のルールに縛られて行動することになります。

 このルールっていうのがとても大事なんです。特に対決がメインの作品には必須の要素なんですね。スポーツのルールと同じです。ルール無用で双方がやりたい放題にやってしまうと、対決は無秩序になって、読者も混乱してしまいます。スポーツがおもしろいのは対等な条件のルールのもと、しのぎを削りあうところに魅力があるわけですから。

 具体例としては『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する”スタンド”という存在が世界観のルールになっていますね。”バトルもの”の少年マンガには多かれ少なかれ、このようなルールが定められています。このルールの設定の仕方によってオリジナリティのある演習してゆくわけです。そもそもバトルなんていうのは、どっちが勝つか負けるかの問題で、しかも最後は主人公側が勝つと相場が決まっているわけです。だからこそ演出方法がとても重要になってくるんですね。

 もちろんバトル以外にもルールを有効に扱っている作品も多くあります。ルールを大きく前面に出して成功した作品としては、ギャグでは『らんま1/2』が、ミステリーとしては『DEATH NOTE』が挙げられるでしょう。また『カイジ』に登場するオリジナルゲームも世界観の設定するルールと考えてもいいでしょう。

 つまり世界観設定は「ある」だけでは不十分なんですね。その世界観設定があることで、登場人物にどのような影響があるのか、また制限が加えられるのか、そして、そういった制約のなかで主人公はどのようなかたちで魅力的に諸問題を解決してゆくのか。そういう演出方法までを考えての世界観設定なのです!

 

 

ついに書籍化決定!その他情報満載☆

 4月の第11回公式オフも38名もの参加者が集まってくれて、内容的にも大好評のうちに終えられました。どうもありがとうございました。オフレポにつきましては、回を改めて報告させてもらいます。次回の第12回公式オフは5月10日(日)にです。みなさんのご参加をお待ちしております。

 さてさて、ここからが本題です! そうブログ開設以来、ほぼ順風満帆に進行してまして、このたびmixiやこのブログで書きためてきたライトノベルの書き方が晴れて本になります。はい、書籍化します! 刊行は8月を目指していて、これから執筆にとりかかります! あの有名サイト”ライトノベル作法研究所”との共著というかたちではありますが、1月末にブログをスタートさせてから、わずか3ヶ月での書籍化は記録的じゃないでしょうかw

 それから、ちょっとお休みしていたマンガでライトノベル講座『○○ラノベ教室』も近日再開します! よい子のみんなは、たのしみに待っててね~!

 これからも、ラノベりあんをよろしくお願いします!

 

第4回 王道を突き進め

サトミ 「よいこのみんな~、元気だったかな?」
ワガハイ「久しぶりなのである。打ち切りになったわけではないぞ!」
サトミ 「いやあ、ほんっとに久しぶりって感じだねぇ」
ワガハイ「みんな、ワガハイたちのことを忘れれてなければいいがな」
サトミ 「大丈夫だよ! きっと!」
ワガハイ「おねえさんは、あいかわらず楽天的だなぁ」
サトミ 「だいたい、これをタイムリーに観ている視聴者にはわからないからw」
ワガハイ「そういうことかい……」
サトミ 「ささっ、早くやろ! 今日は何を教えてくれるのかな? たのしみだなぁ」
ワガハイ「じゃ……じゃあ今日もはじめようかな」
サトミ 「そうそう。でないと出演料でないからね」

ワガハイ「まったく……まあ、いいか。今日のテーマは『王道を突き進め』だ!
サトミ 「王道って?」
ワガハイ「王道パターンのことだ。つまり昔から人気作品に共通するストーリーパターンって感じかな」
サトミ 「でも、それって言葉を言い換えれば”ありきたり”ってことでしょ。」
ワガハイ「ふっ、ふふふ。脚本通りのセリフとはいえ、甘いよ、おねえさん」
サトミ 「なっ、なんだってぇっ!(棒読み)」
ワガハイ「……なんか調子狂うな。でもまあ、そういうことなんだ。
      ライトノベルに限らずエンタメ小説を書くときは、まず王道パターンを意識すること!」
サトミ 「でもさ、そんなことしてると時代遅れにならない? 王道パターンばかりじゃオリジナリティだってなくなるし」
ワガハイ「オリジナリティか。いい質問だね、おねえさん。オリジナリティを勘違いしてもらっちゃ困るんだな」
サトミ 「どういうこと?」

ワガハイ「オリジナリティにこだわって、まったく新しいことをやろうとするのは初心者の決定的ミスなんだ。
      たとえばだ。恋愛作品を書こうとして、今までにはないまったく新しい斬新な作品として、
      性別が3種類あるSFとか異世界の恋愛ファンタジーとか読みたいと思う?
      それ以前に、そんな登場人物に共感できるかな?」
サトミ 「性別が男と女以外にもう一つって……結婚は3人で一組とか? いまいち想像できないなぁ」
ワガハイ「だろ? これは極端な例だけど、有史以来、数えきれない物語がつむがれてきているんだから、
      そのうえで誰もやったことのない斬新なことをやろうとすれば、もう珍妙なものしか残っていないんだよ。
      おそらく性別が3種なんていうのだって、どこかのSFではやってるネタだろうしね」

サトミ 「じゃあ、もう誰かのマネをするしかないってこと?」
ワガハイ「そうじゃない。根本的にまったく新しいことをやるのは無理だし、それ以前に重要なことは、
      やっぱり読者は常に王道を求めているってことだよ! 読者は作者よりも安定を好んでいるんだね」
サトミ 「そっか、時代劇のワンパターンもそういうことなんだ!
     あれは観ていて安心できるよね。途中からでもストーリーがわかるし。でも飽きられない。
     主にお年寄りにだけどw」
ワガハイ「そうだね。そういう面も必要なんだよ。そもそも神話の時代から数千年間の蓄積のある
      物語の黄金パターンを、そうやすやすと一個人が越えられるものじゃないのさ」

サトミ 「でもさ、王道だと、他の作品との差別化ってどうするの? オリジナリティがなくなっちゃうでしょ?」
ワガハイ「心配ないよ。王道パターンはしっかりと守る。
      そのうえで王道路線をいかに個性ある演出ができるかってところが
      作者の腕の見せ所になるんだよ。それがオリジナリティなのさ!」
サトミ 「へえ。大枠は王道パターンで、オリジナリティや目新しさは細かいところでだすのか、なるほどぉ!」

ワガハイ「今日のおねえさんはものわかりがいいな。そうなんだ。
      作品を1本の木にたとえるのなら、その根は古今東西の作品の功績を吸収するための豊富な知識です。
      より広く深く根を張っている木はしっかりと大地に立つことができるのと同じく
      小説でもより多くの本などからの裏づけのある作品は重厚で機知に富んでいます。
      そして木のごつごつした幹こそが王道パターンそのものなんですね。
      根からの栄養、つまり知識をしっかりと枝葉に伝えるために太く、頑丈でないといけない。
      だからこそ、ここの部分をおろそかにせず、真っ直ぐに立つように心がけてください。
      そして最後に末端の枝葉にこそ作家の個性が光るんです。
      だから、みなさんは自分だけの美しい立派な花を咲かせてあげてください。
      あるいは瑞々しくて美味しい果実を実らせてあげてください」

サトミ「うは、なんか今回のワガハイ、金八先生みたい~ぃ」
ワガハイ「……なんか褒められてる気がしない複雑な気持ちになるのはどうしてかな?」
#04 novel school

<応用クイズ>
 オリジナリティをだすためには既に一般化している(    )を(    )することが大事である。 (こたえはメルマガで!)

文:UNO 絵:みのり
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