L'Anovelién

UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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ライトノベル創作教室ラノベりあん 中二病でも書けるライトノベル教室♪

小説の楽しい書き方講座ブログ 毎週開催の創作塾と連動中!

最速!創作塾、春の新学期スタート!

満開の桜の下、大学の多くが入学式を迎えた4月1日、当塾も新学期をスタートしました!

ここでちょっとブログのカテゴリも専用のものを新設してみました。
これに伴いまして「最速!ラノベ創作塾」は「最速!創作塾」へと微妙に改名いたします。
元よりライトノベルだけに留まらないジャンル志望者の指導もしてみましたので、より実態に近いかたちとなりました。
ただ最速になるかどうかは塾生しだいでありますから、塾長である日昌晶も厳しいながらも
毎回、声をからしながら誠心誠意指導していますので、塾生たちにも頑張ってもらいたい所存です。

さて現在の塾生の状況はといいますと、本日時点で男女2名ずつの計4名となっています。
前のエントリーにも書きましたとおり、あと男女2名ずつ募集中ですので、興味ある方はぜひメールしてください!
また今月より毎週から隔週での指導となり、直接指導のない週には進捗報告を兼ねて
途中経過でもいいので課題の提出をしてもらう約束にしました。

そして今年度初の第1回目の指導についてですが、新人さんも迎えつつ3人の参加でした。
課題は引き続き、改めて自分を見つめなおしてみて「自分が本当に書きたいと思っているもの」
つまり「自分が読者にサービスできるもの」は何なのかを実際に言葉にして再認識してもらうというものですが
これがまたかなり難しいようで悩んでおります。
とはいえ、何を書きたいのかなんてことは自発的な意思の問題ですから私が指導できるものではありません。
ここは石にかじりついてでもがんばって自分の本当の気持ちを言葉にしてほしいと思っていますが
ここで数多くでもないですが、何人かの塾生は挫折してしまった難所でもあります。

では、どうして挫けてしまうのかというと、以前からブログにも書いてきましたが代表例をいくつか紹介しておきます。

(1)執筆にあたって読者のことなんて考えてこなかったし、どうしても考えられない
たぶんいちばん多い原因じゃないでしょうか。小説家になりたいという気持ちを抱いたとしても
それが自分が純粋に物語を書きたいからみたいなことが動機だったりすると、そうなりがちなんですね。
とはいえおカネをもらう商売としての作家になりたいなら、お客様のことを考えないで商品は作れません。
誰かに読んでもらって喜んでほしいから小説家になりたいと思っている人や下世話に印税で楽な暮らしをしたいなんてことを
考えてしまっているような人のほうが、このような罠にかからずにすむんですね。

(2)書きたいものがあるが、それを書ききるだけの知識や経験、文章力などが決定的にたりていない
これも多い理由でしょう。好きこそものの上手なれとは言いきれないのが現実世界です。
好きな傾向の作品だからといって、それが本人に向いているとは限りません。
知識や経験だけなら勉強したり体験したりすればなんとか克服できますが時間をムダにしないためにも
そのときそのときの自分の身の丈にあったものを題材にして書くというのもひとつのスキルです。

(3)実は書きたいものがない
そんなわけあるかと信じられないかもしれませんが、実は少なからずありうるタイプなのです。
なんとなく曖昧模糊とした感じで書きたいものがあったように思えても、よくよく突き詰めてみると
そういうものは枝葉末節でしかなくて、本質として描きたいものというのがないということがあるのです。
こうなってしまっては私も指導しようがありません。
でっちあげでも自分を騙してでもいいので書きたいものを見つけない限り先には進めません。

どうですか? あなたは当てはまりませんでしたか? よく考えてみてください。
私がのべ数百人教えてきたなかで、ここでつまずいていなかった人はほとんどいませんでした。
建築でも基礎をしっかり作らないと家が歪んでしまうように、あなたの小説もちゃん完成しませんよ。


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ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう【創作演習01】

塾生がいろいろと悩んでしまっているので、ここで具体例として、ちょっと作品を作りはじめる際に
どういうふうな思考展開をしてゆくのかを考えていこうというのが今回の一連の記事の目的です。

ということで、まず今回モチーフとして思いつきで選んでみたのが日昌晶の趣味でもミニチュアゲームでした。
このとき、やたら悩む人も多いのですが、実際にはモチーフなんでもいいんですね。あまり深く考えないほうが巧くいきます。
さすがにモチーフがマニアックすぎたり、インモラルすぎると後々困ることになるでしょうが
この段階においては自分の趣味をまるだしにしてしまっていいんですね。好き勝手にやりましょう。
(ミニチュアゲームは実際に商業ベースに乗せる作品として考えると知名度的に微妙なラインですが敢えて選びました)

ただしベテラン作家でもない限りモチーフは自分のヒキダシの中からモチーフなり題材を探してきてください。
作者の知らないものを書くことは基本的に難しいというか、ほぼ無理です! やめてください!
いろいろな人やところに取材する経験が豊富で苦にならず人脈やコネがある人であるとか、
外国語の原書も躊躇なく数十冊くらいラクラクと読みこなしてしまうような人でもなければ、やめておいたほうが無難です。
専門書を数冊読んだくらいでは中途半端ですし、書物からの知識だけではしょせんウケウリでしかありません。
作者の血肉となっている経験や体験に敵うものではないので、ネタ探しはこれを最優先しましょう。

特にラノベ作家志望の人はすぐラブコメを書きたがるのですが、作者に恋愛経験がまったくないのでは話になりません。
少なくとも中学、高校、大学の頃にひとりやふたりの異性にモテた経験がないとどうにもならないのです。
なぜなら作者に実体験がないと、モテたときに主人公がどういうふうに考えたり行動するかということが描けないし、
恋愛あるあるネタとかキュンとくるシチュエーションを出すことができないからです。
他作品のウケウリ、モノマネに終始しているだけでは、しょせん劣化コピーの作品しか描けないのです。
で、どうも恋愛エピソードがうまく書けないからと、やたらバトルに逃げたりしてしまいがちなんですね。
ラブコメ読者は恋愛経験の乏しい人も多いのでしょうが、ラブコメ作家側は普通に恋愛経験がある人なのです。
作者の恋愛経験がないならないで、純文学だと逆手にとってモテないことを真正面から描くとかの正攻法もありますし
恋愛要素の少ない自分の得意なジャンルで勝負するのも得策ですので、ラブコメにこだわらなくてもいいと思いますよ。
もしくはたくさん恋をしてください。恋の数、愛の数だけ作者のヒキダシにネタが入っていきます。

ということで第1回目としては、とりあえず『ミニチュアゲーム』をモチーフにすることを”単なる思いつき”で決めてしまってから
それをいかにおもしろくなるかをセオリーにしたがって考えてゆくのが次の段階となります。
ただし便宜上、この演習では何回にも分けて説明しながら書いてきますが、
実際に構想を練るときは複数のことを並列的に考えを巡らすので、ほとんど瞬間的に決まってしまうものです。
ひとつひとつステップアップするようなことはないということを念頭におきながら、つづきを読んでください。

ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう【創作演習02】

前回はモチーフを決めましたので、今回からこのモチーフを活かしてコンセプトを組み立て行きましょう。

概念的にはモチーフというのは、思いつきの産物なので、どんな形にもなる流動体、スライム状のものだと思ってください。
このままでは扱いにくいので、型にハメて形を整えてできたものがコンセプトという感覚でしょうか。
ドロドロとしたものからゼリーや寒天にするのが今回の演習の目的です。

ここでいう「型」というのが「物語」のセオリーであり王道なのです。この知識がないと、この作業はままなりません。
そして作者が型枠の数をたくさん持っていれば持っているほど最適な形のゼリーを作ることができますが
あまり型枠の種類をたくさん持っていないと、どうしても不都合がでてきてしまうわけです。

さて、演習例題でのモチーフは「ミニチュアゲーム」でしたね。
ミニチュアゲームがどのようなものかは本ブログで本筋をはずしながらも紹介しているので参考にしてもらうことにして
一言で要約すれば「ジオラマ(フィギュア駒と情景モデル)を使って遊ぶ戦争ゲーム」です。
はっきり言って価格帯も高いし、作るのに手間もかかり、それでいてルールも複雑、ミニチュアの運搬も一苦労と
お子様にはあまり向かないため、かなり大人向きの趣味となっているのが現状です。
こんなものをライトノベル化しようというのは少し無理があるかもしれませんがやってみます。

まず、ミニチュアゲーム小説化する際にどのようなパターンが考えられるかというと2パターン存在します。
Aパターン:ミニチュアゲームで設定される世界観そのままの物語を描く
Bパターン:ミニチュアゲームをプレーするミニチュアゲーマーの物語を描く

Aパターンの場合、ミニチュアゲームではスターウォーズやスタートレックのゲームが欧米では人気が出てきましたが
そういった場合だとスターウォーズそのもののエピソードを描くことになるわけです。
これだと版権の問題もありますが、そもそもライトノベルではないですよね。ノベライズや二次創作になってしまいます。
なのでラノベにするならばBパターンが唯一の選択肢となります。

じゃあ、ミニチュアゲーマーを登場人物として作品を書く場合、どのように描けば読者の興味をそそるでしょうか?
ここで将棋マンガなんかで失敗している例をときどき見かけるのですが、ゲーム展開そのものを盛り上げようとするんですね。
たいていの場合、この方針は失敗します。なぜか?
理由は簡単です。読者はそこまでルールを熟知していないからです。読者はルールなんてまったく知らないのです。
なのでゲーム的に伯仲する盤面を示したとところで、何が起きているかなんてわからないし興味がないんですね。
それなのに無理矢理に駒を擬人化したりして、どうにかゲーム展開に興味を持ってもらおうと努力しても効果は薄いのです。
もっとも成功したゲーム漫画のひとつに『ヒカルの碁』がありますが、当時の子供たちを含め、どれだけの読者が
囲碁のルールを知っていたでしょうか? たぶん初歩の初歩すらほとんど知らないまま読んでいたはずです。
それでも読者の興味を惹いたのは、ひとえに盤上ではなく盤外での物語がおもしろかったからです。
普通に考えれば当たり前なのですが、題材とするゲームに精通していれば精通しているほど間違いやすいポイントです。

ゆえにミニチュアゲームを題材にすることになっても、ミニチュアゲームの中身自体はどうでもよいのです。
肝心なのはいかに主人公たち作中の人物たちが、ときに楽しく、ときに熱く遊んでいるかを演出するかにかかっています。
ミニチュアゲームを魅力的に見せるためには、ゲームそのものの楽しさを解説したり紹介したりするのではなく
そのプレー風景がいかに楽しいかを見せつけることでしか表現できないのですね。つまり”印象”こそが重要なのです。

じゃあ、どんなプレー環境を見せてあげれば読者は食いついてくれるでしょうか?
このとき想定する読者はライトノベル愛好者であるハイティーンから20代の男性(高校生、大学生、若手社会人)
およびその感性を持ち続ける大人とするならば、やはり(学生的な)青春らしさが求められるのは明らかなことです。
そしてラノベ的青春とは、ひとつには文化系部活やサークルのような慣れ合いの居心地のよい”居場所”の提供であり
もうひとつはなんといっても、美少女とのときめくような恋愛だったりするわけです。
よって実際、ミニチュアゲームのプレー風景に女子はあまりいませんが、読者の理想を汲みとるならば
現実以上に女子比率をあげたかたちで理想のサークル像を提供してあげることになります。

ここで世界大会を目指したり、陰謀に巻き込まれて生死をかけての闇の大会に出場とかいうバトル展開もありますが
こうなると、より児童向けになってしまうので、あまり適切ではないかなと思ったりもするわけです。
現実にはミニチュアゲームでは巨大な専用施設にて100人くらいが一斉に対戦するような世界大会もありますから
そんな世界大会をエピソードにしてもいいのですが、それを作品の中心に据えてしまうのは危険でしょう。
昨今のライトノベルの流れからすると、あくまでもサブカル的、文化系サークルのノリのほうがよさそうだし
日本でのゲーム風景にはマッチしているんじゃないでしょうか。

以上、このあたりは、なんら奇をてらうことなくセオリーを当てはめて淡々と処理していますので
ほぼ悩むことなく自動的に決まってゆくことですが、この演習ではあえて説明するために順を追って説明しました。

次回はさらにコンセプトを煮詰めてゆきます。

ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう【創作演習03】

前2回の結果からミニチュアゲームをモチーフとしたライトノベルを書くためのコンセプトの大枠を決めました。
ひとつは「居場所」であり、もうひとつは「恋愛」です。
昨今のライトノベルや文化系サークルを題材とする作品においては特に必須の傾向となっています。
とはいえ急に流行りだしたわけではなく昔から永遠のテーマとなっていたものですが顕著になってきたのです。
特にネットの普及により読者を取り巻く現実世界が拡大してゆくのに反して人間同士の濃密さは希薄になる傾向にあるので
いまの読者は昔よりも仲間同士の帰属意識が強い作品が好まれてきています。

では次の段階として登場人物、キャラクターについて考えていきます。
ラノベや娯楽性の強い作品の場合、ストーリーを考えてからキャラ設定をするよりも強烈な個性のキャラを作り
それに合ったストーリーや世界観を誂えてあげるほうが作者のイメージが膨らむのでおすすめです。
ストーリーから決めてしまうと外枠を決めてしまうようなもので、枠内でキャラの個性をやりくりしなくてはならず
どうしても小さくまとまってしまうので魅力的になりにくいんですね。
逆にキャラから作ってしまえば、キャラがどんなにぶっ飛んでいてもそれに合わせた枠を用意してあげればいいのです。
意外と中級者でもストーリーからやってしまう人が多いので、ここは重要なポイントになります。
とはいえ慣れてくるとキャラもストーリーも脳内で同時進行で決まってゆくものなんですけどね。
慣れないうちはキャラ作りから始めたほうが、おもしろい作品に仕上がる確率がぐっと高くなりますよ。
ただしキャラ先行で創作するとキャラ設定の自由度が高くなるぶん、より作者が悩むことになるのは覚悟してください。

さて、今回のミニチュアゲームのラノベにはどういったキャラが必要でしょうか?
まずは男性向けラノベですからボーイ・ミーツ・ガールなので少年と美少女の主人公が必須です。
では、少年と少女のどちらを主人公にするかが問題となり、選択肢は2つあります。

(A)少年が主人公であり、ストーリー的に少年が中心に活躍する。少女は少年の相手役のヒロイン。
(B)少女がヒロイン兼主人公として物語のコアとなる。少年はヒロインの傍観者的な立場となる。

どちらもありうる選択肢ですし、どちらを選んでもいいでしょう。またはAとBが複合的な作品もあります。
今回の場合は、ミニチュアゲームという読者にとって未知の題材を作品化するという目的があるので
どうしてもミニチュアゲームというものを作中でいろいろ説明していかないといけないわけで、
そのためには必ず無知(バカとは限らない)なキャラが必要となってきます。
この無知キャラに有識者キャラが解説・説明シーンを加えることで、同じく無知である読者に説明する仕掛けです。
地の文で説明文を長々と書いて読者を辟易とさせるより、その都度会話で何気なく説明したほうがスマートですから。

そう考えると、今回はパターンBがよさそうです。
傍観者兼無知キャラの少年に破天荒なヒロインが物語を振りまわすという展開が最適解ではないかと判断します。
このときの少年は文章では「一人称」であったり「視点キャラ」であったりすることになるわけですが
彼は傍観者にして語り部ではありますが、メインの主人公とは言いがたいものがありますので
このような読者目線となり、もっとも読者の共感を得るようなキャラを「アバター」と呼ぶことにしています。
まさに少年キャラは読者である男性たちの分身であり、彼のキャラを通して読者はヒロインと恋愛することになります。
なのでアバターは読者と同じくかなり普通の少年の設定になることが多くなるのです。
たとえ前世の因縁があろうと特殊能力に覚醒しようと、ごく普通の高校生なりの常識的感覚を持ち続けてください。

では主人公にしてヒロインとなる美少女はどうでしょうか?
先ほども少し触れましたが、おとなしい少年に対してヒロインは真反対の性格にするのがセオリーです。
なぜなら両者ともおとなしかったら物語が小さくまとまってしまい、物語がうまく動かなくなってしまいますからね。
もし、おとなしいヒロインを登場させたいのであればサブヒロインとして登場させてあげてください。
ただしサブヒロインがメインヒロインよりも読者人気が高くなってしまうということはままあることです。
だからこそメインヒロインは破天荒、無思慮、無計画といった極端な性格を持たないといけないわけで
それこそが読者をぐいぐいと引きこむための原動力、エンジンとなってくれる存在ですので絶対に妥協してはなりません!
ここで巧いヒロインの性格設定がハマれば、もうこの作品は7割がた成功したも同然です。
反対にさして特徴もない、よくあるヒロイン像にしてしまったら、ほぼ失敗が確実になったようなものです。

次回はこの一番重要なヒロインをどうするかについて考えていきましょう。

ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう【創作演習04】

創作演習も4回目、かなり佳境に入ってきました。ついに最初の関門です。
これまでにモチーフを決め、コンセプトの大枠を整え、さらにキャラクターのポジションを考えているところで
今回は読者のアバターである少年のつぎに主人公となるヒロインのキャラ設定の方向性を考えていきましょう。

前回まではセオリー通りで知識があればほぼ機械的にぽんぽん決まってゆく内容だったのですが
男性向けライトノベルのヒロイン設定は作品の中核的存在ですから、ここに作者の個性を活かしていく必要があります。
では、どんなものがいいかというと、基本的には前回書いたように少年がアバターでありおとなしめの性格なので
物語の構成上、真逆の能動的、積極的、活動的な性格であることが求められます。

具体的にはどういうふうにすればいいかとなると、ミニチュアゲームをモチーフとしているのですから
これにできるだけ関連付けるほうがよいわけで、まったく無関係では興ざめしてしまいます。
そのようなことを指導すると初心者は「過剰に勝負にこだわる」といったことを考えがちなのですが
これだとストレートすぎて昨今の作品としては、いわゆる読者へのパンチが不足してしまいます。
ということで目安としては、できるだけ読者をおっと言わせるような新鮮味が必要なのです。
さらにいうと作者は至上命題として、男性読者をヒロインに惚れさせなくてはなりません。
なので奇抜さや意表を突いた設定をするにしても読者に嫌悪感を感じさせてはなりません。これも重要です。
この両者の兼ね合いを調整しつつよいものを考えなくてはならないことが難易度を高めているわけですね。

ここでミニチュアゲームとヒロインを関連付けるためにもミニチュアゲームのおもしろさを振りかえってみます。
最大手のメーカーである英ゲームズワークショップ社では、いろいろな楽しみ方があると宣伝していました。

(1)ミニチュアを作る楽しみ→模型趣味、自分だけの唯一無二のミニチュア駒を作ることができる
(2)コレクションする楽しみ→鑑賞に堪えうる精度のミニチュアを集めて自分だけの勢力(部隊)を揃える
(3)ゲームをする楽しみ→飾るだけの模型と異なり、実際にゲームの駒として能動的に遊べる
(4)コミュニティに参加する楽しみ→対戦ゲームなので自然と仲間ができサークル活動などが促進される
(5)世界観や物語の楽しみ→膨大な世界観設定やそれに基づく多数の小説、コミック、テレビゲームなど派生作品の数々

輸入ゲームなので一部英語力を必要としますが、上のように幅広い楽しみ方があるわけです。
逆にいうと、これにかかわる煩わしさ、面倒くささも出てくるわけですがマイナス要素は考慮しないことにします。
そして、この中でどれを特に大切にしたいかというと、前にも書きましたが「居場所」のたいせつさを考えると
(4)コミュニティに参加する楽しみに重点を置くべきであり、できればヒロインの性格設定についても
この方向性を持ちつつエキセントリックなものにしてあげるのがセオリーであり、よりよい設定になる確率が高いです。

よってヒロインは「コミュニティ」に対して尋常ならざる異常性がある性格を考えていくことにしましょう。
コミュニティに関してぱっと思いつくのは「極度の人見知り」「孤高・孤立」」「権威主義・支配欲」「空気読めない」などなど
まあ、そういう集団生活に適応できなさそうな性格が思いつきますよね。
こういう設定は意外と読者ウケがよいのです。
ツンデレ等のキャラにも見られるように読者としてはヒロインはアバターの少年だけを特別視してほしいので
それ以外の人間(特に同年代の男)にとっては(美少女なのに)敬遠されるくらいのほうがいいわけです。
誰にでも愛想を振りまく誰からも好かれる人気者キャラや八方美人キャラというのはあまり好かれない傾向があります。
ただし八方美人キャラを無理して演じていてアバターにのみ本音を見せるなんていうのはアリな設定です。
具体例については私が例を挙げるまでもなく思いつくことでしょう。

とここまで書いて、わたくし日昌晶もさっぱりいいアイデアが浮かばないので、諦めて風呂にはいりました。
こういうときは無理にアイデアを出そうとせず、リラックスしたときにふとひらめいたりするものです。
そして、湯船に浸かりながら思いついたのは「サークラ気質」という性格設定でした。
ヒロインはちょっと変わっていてオタク男子的趣味が好きなのでオタサーの姫になりがちなうえに
天然というか天性の素質のサークルクラッシャーでこれまでいくつものサークルを崩壊してきたということにしようと。
一口にサークラといっても、いくつかのタイプに分かれていて性向がだいぶちがいますのでひとくくりにはできませんので
細かいところは後々に詰めるとして今の段階ではこのくらいの方向性を決めたうえで先に進んでみて
適宜修正を加えたり、どうもダメそうならやりなおすということにしていきましょう。
なにより私は一応、京都大学サークルクラッシュ同好会東京支部長という肩書があるくらいで
かつて独自に調査していたこともあってサークラやオタサーの姫については一家言あるのです。

次回は、これまでの決定事項を踏まえたうえで作品コンセプトを決定しましょう。

ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう【創作演習05】

この創作演習も5回目にして一区切りつきます。今回でコンセプト決めの最終回です。

おさらいとして今まで決めてきたことを下に列挙してみましょう。

(1)モチーフは「ミニチュアゲーム」で、ミニチュアゲーマーの話
(2)主人公ヒロインは「サークラ気質」の美少女、もうひとりはアバター(視点キャラ)の少年
(3)作品の方向性としては文化系サークル的な「居場所」と「恋愛」をストーリーの核とする


まとめてみると、こんなものですかね。
実は大したことは決まってないのですが、ここに至るまでに考えなくてはいけないことは多かったですよね。
そのため、この程度のことを決めるだけでも、初心者の10人中8、9人は辿り着けないのが実情なのです。
だからこそ、この演習をわざわざこのブログで書いている理由でもあるのです。

さて、だいたいコンセプトを決めるための材料は揃いましたので、これを見栄えよくまとめると
ようやく作品コンセプトの完成とあいなります。じゃあ、どう整えてゆくかを考えていきましょうか。

ここで必要なスキルは「掘り下げ」です。
これが初心者には至難らしく、いくら口を酸っぱくして言っても塾生たちはやってこないんですね。
無理にやらせても、なんというか「詳細設定」として掘り下げてきてしまうわけです。
そうではなく、これはコンセプトの掘り下げなので、もっと抽象的、概念的な掘り下げということになります。
究極的には「人はなぜ笑うのか」とか「感動とはなんぞや?」といった感じに掘り下げていってください。
まずなにより重視すべきが、自分の趣味を盛り込むことより、読者が喜んでくれるかどうかの視点でものを考えることです。
これができていない人は独りよがりな作品になってしまい、結果的には作者本人が読んでもつまらない作品になってしまいますよ。
では具体的に順を追って今回の例題を用いて演習をしていきます。

まず全体として、この作品のジャンルはどうするかみたいなことを考えなくてはいけませんよね。
今まで設定を考えてゆく途中になんとなくは考えている必要がありますが、ここにきてびしっとどんなジャンルかを決めます。
そうするとことによって作品の方向性がブレにくくなります。意外とこのあたりから決めてない人も多いので注意です。
今回の場合、対人ゲームをモチーフとしているわけですし、コンセプトのひとつとして「居場所」があるので
純然たるラブコメ路線はいささか偏ってしまいそうですし、カードバトルみたいな児童向け路線も避けてきたわけですから
以前にも少し触れましたが、ここはいわゆる「部活(サークル)もの」でいくのがマッチするでしょうね。
文化系学生による文化系サークルによる、おもろい仲間(奇人変人)たちとだらだら集まっては
日々ゆる~い馴れ合いの中にも(あるある的な)おもしろいイベントやハプニングが盛りだくさんで
もちろん、かわいい女の子(たち)との部内恋愛なんかもあるよ的なものです。
なので、いかにも文化系少年少女たちが理想とするサークルを物語の中で実現ですることが最大の目的となります。

しかし、このままでは小説作品としては物語の起伏がないし、なかなか読者を惹きつけるだけの刺激もないので、
そこにスパイスというか劇薬として投入されるのがヒロインの持つ「サークラ気質」というわけです。
日々たのしい文化系(オタク)少年たちの楽園であるサークルを根底から崩し、相互不信から対立、破滅へと導く
まるで魔王かセイレーンのような存在が実は天性のサークルクラッシャーであるヒロインであれば、
物語は作者があまり考えなくとも、どんどん加速度的に渾沌の彼方へと突き進んでゆくでしょう!
いわゆる「キャラが勝手に動く」というのは、キャラの個性がはっきりしていて強いので作者も読者も彼(彼女)の
行動が予想しやすいがために、そのように感じるんですね。
これは執筆における良い兆候ですが暴走しないよう作者は手綱はしっかりと握っている必要があります。

そういうシチュエーションの中にあってアバターである少年はサークル(趣味)とヒロイン(彼女)との板挟みになり
一方を擁護すれば裏切り者呼ばわり、仲裁を試みれば双方から恨まれるという過酷な環境に置かれ
「趣味」をとるのか「恋」をとるのか、でもどっちも大好きで選べないという青春っぽい葛藤が生じてくるわけですね。
「葛藤」のない作品は出汁の入っていない味噌汁のようなもので味気ないものです。
読者の分身であるアバターの少年が葛藤を抱えて、それに答えを見出し解決することで
読者はそこにカタルシスや爽快感を感じでくれて、読後にすっきりとした気持ちになることで
最終的に「ああ、おもしろかった!」と言ってもらえるようになります。
なので勘違いしないでほしいのは、葛藤は必要ですが葛藤を解消させないで作品を終わらせてしまうと
逆に読者のフラストレーションを高め、もやもやさせてしまうことになるので注意してください。
ホラーなどは意図的にわざとやったりしますが、わかっていて使うぶんには構いませんよ。

さあ、これでコンセプトはほぼ完成です。
「ミニチュアゲーム(趣味)」、「たのしい仲間たちとサークル」、「サークラなヒロインとの恋」が
全て物語構造の中で一本につながったことに気づいてもらえたでしょうか?
作品コンセプトにおいてキーワードがバラバラの状態であったのなら、その設定である必要がない
あるいは不要なものが混じっていると思ってください。今回の設定では無駄にはならなかったようですね。
では最後に上記の内容を簡潔にまとめた作品コンセプトを提示して終わります。

・サークラ美少女とサークル(仲間・趣味)との板挟みに翻弄される哀れにも羨ましい少年の物語

次回はコンセプトも決まったので、さらにキャラなどの詳細設定について考えてきましょう。




初心者がつまずきやすいポイントにハマる塾生たち【指導日誌】

本当は「ミニチュアゲームのライトノベルを書いてみよう」のつづきを書いていこうかと思いましたが
4月15日の指導でいろいろとまた問題が出てきましたので、そちらを優先して書いてみることにします。

隔週指導になって2回目の指導日となった15日は4人の塾生の参加がありました。
男女2名ずつで最終選考まで残った塾生1名と1次選考落ちの3名なのですが、
やはり4人とも基礎的なところがまだまだ理解が不十分なので、迷いがあったり気づくべきところを気づけなかったりと
創作において初心者がつまづいてしまう確率が高いポイントに見事にハマってしまい四苦八苦しているようです。
ここを抜け出すための方法を教えますが、実際に抜け出せるかどうかは本人しだいです。
たゆまぬ努力を続けて、この泥沼を抜けだしてほしいですね。

さて、このブログ読者にとっては、どんなところでつまづいてしまうのか気になるところでしょうから
そのうちのいくつかをここで紹介しておきたいと思います。ぜひ人の振り見て我が振り直せとしてください。

【詰め込みすぎ】
設定を考えるのが好きな男性に多いのですが、とにかくいろんな要素を盛り込みたがるんですね。
しかし1冊の文章量は決まっていますので普通に考えれば盛り沢山にすればするほど
ひとつひとつの要素は薄口となり、ものたりないものとなってしまいます。
また読者(特にライトノベル読者)は難問に挑むかのような態度で読書をすることはありません。
できるだけ要点を絞り、読者へのアピールポイントを明確に先鋭化させることが重要です。
あと、それぞれの要素を盛り上げられないために、要素の数を増やそうとする人もいるのですが
質より量みたいな手法は小説では最悪の結果となりますので、それだけはしないでください。

【物語の分類ができない】
小説なんてものは実は大別してしまえば、それほど多いパターンがあるわけではありません。
エドガー・アラン・ポーひとりがすべてのジャンルを出し尽くしてしまったとさえいわれることもあります。
特にライトノベルではざっくりと分ければ5種類、多少細かく分類しても20種類には収まるはずです。
ですから作者は、そのうちのどのパターンを書くかをまず決めることになるわけですが、
初心者にはそれができないので、自分が何を書いてるのかさえも理解しないまま文章を綴っているのです。
小学校の算数に「つるかめ算」とか「旅人算」「時計算」「和差算」なんかの特殊文章題を習った人も多いでしょう。
天才なら学校の教科書に書かれた内容だけで自分で解法を導き出すことができるのですが
普通の秀才レベルでは塾の先生に上記のような解き方を教えてもらわない限り手も足も出ないのです。
そして小説においてさくっと書いてさくっと受賞できてない人は少なくとも天才ではありません。
ひとつひとつの種類を見分けて分類することで、それに適切なやり方を見つけてゆくしかないのです。

【書きたいことが見つからない】
このブログでも何回か触れていますが、本当に見つけられない人が多いのです。
つまりどうすれば読者が喜びそうかなということが理論として頭で理解できてないんですね。
これも天才なら感性だけで読者のハートを鷲掴みできるのですが、秀才以下であれば理詰めでない限り
どうしたら読者が楽しんでくれるかなんてことを理解できるわけもありません。
理解なしで作品を書いたものがおもしろくなる確率は1%もないでしょう。
1日長編1作、年間300作以上書けるという人ならば、低確率でも挑戦してみる価値はあるかもしれません。
そうでないなら自分が何を書きたい、書くべきなのかつらくても自分と向き合うしかないのです。

【設定を掘り下げられない】
これは常に指導の中心にありますが、どんなに口を酸っぱくして言ったり、ときには怒鳴りつけるようにして注意しても
なかなかこれをやってくれないんですね。それもひとりやふたりではなく、みんなそうなんです。
登場人物である架空のキャラというウソ臭い存在をもっともらしく語るためには、嘘をつくためのリアルが必要なのです。
人が騙される嘘というのはバカバカしいほど大胆にして、それでいて全てが嘘ではない真実が混ざっている嘘です。
ノンフィクションではない小説とはまさに嘘の集大成なのですから、少しのリアルさが求められるのです。
そこで実在の人間とはどういうものか、日々どういうことを考えたり思ったり、感情を抱いたりするのか
そういう細やかなところを理解し、それをキャラにしっかり反映させてやらなければ、嘘くさいままの木偶キャラであり
とても魅力的なキャラにはなってくれないことはわかってくれているはずですよ。

総じて上のようなつまづくポイントはダメだとわかっていても、なかなか出来ない、治らないんですね。
なぜならかなり高度なスキルを要求していますし、なにより慣れていないと考えるのが苦痛なんだと思います。
結局、創作をするにしても楽なほう楽なほうへと逃げていってしまうんですね。
たとえば性格設定などはあまり深く考えなかったり、世界観設定だの小道具の設定に凝ってしまう。
はっきり言って、この手のことは作家でなくとも誰でも考えられるんですよ。みんな妄想したりしてます。
ただ、その妄想をホントっぽく演出するための工夫が大変だし難しいから、とにかくつらいのです。
これが出来る人が作家になれるわけで、できなければ読者のままでいたほうが幸せになれます。

「ぼくのかんがえたカッコいいクルマ」の落書きを描けたからといって技術者とはいえないのと同じで
機械工学の知識を苦労して身につけエンジンやシャシーの設計ができるようになった人だけが技術者なのです。
あなたは「大いに読者を楽しませる」ために必要な知識と技術をどれだけ身につけていますか?





科博オープンラボ2015に行く

国立科学博物館では、1年に1日だけ研究員たちの文化祭みたいな「オープンラボ」というイベントがあります。
かつては新宿に研究施設があった頃は気軽に行けたのですが、今はつくばに移転してしまいまして
さすがに遠くて億劫になってしまい毎年パスしていましたが、一念発起して今年はつくばエクスプレスに乗って行ってきました!
ちなみに前回の模様はこちら「国立科学博物館分館オープンラボ」のエントリーです。

つくば駅まで出るのは意外と早かったのですが、バスが1時間に2本しかないということで、
1時過ぎと到着が遅くなってしまいましたがギリギリなんとかすべての施設をまわることができました。

科博の研究施設は同じく科博の一施設である筑波実験植物園の一角にありまして、
大きく分けると植物、動物、工業の3つのジャンルに対する展示や講演、実演などが行われました。

植物園入口から入り、研究施設に入ると、まず遭遇したのが写真にもある通りイルカの解剖でした。
新宿で開催した最後の2010年(震災で2011年は中止)に参加したときもやっていたので
まさか今年もやっているとは思いませんでしたが、今年も先生が嬉々として説明しながら解剖していました。
前に見たのは水族館で変死したイルカで、今回は漂着死したイルカとのことでしたが
今回のイルカは妊娠していたとのことで写真のようにちょっとかわいそうでしたがイルカの胎児も確認できました。

イルカの胎児

他の展示はというと、それほど毎年大きく変わるということがないので経験者にとって驚きは少ないのですが
はじめて行く人にはなかなか刺激的な内容も多いので、かなりおすすめですよ。

個人的に今回とても興味深かったのは、公開された資料庫にあの特攻機「剣」が無造作に収蔵されていたことですね。
終戦間際に製造が計画されていた試作機でジェラルミンなど資源欠乏からできるだけ木製部品を多用し
特攻機は着陸しないから車輪は不要と離陸時に捨ててゆくという航空機だという予備知識はありましたが
解体されて片隅に置かれた剣の主翼はやはり木製で表面のみ金属板を貼ってあるのが確認できました。
風防(キャノピー)などは俗にいうプチプチの緩衝材で覆われて確認できませんでしたが、零戦などに比べるとかなり小さく
靖国神社に展示されているロケット特攻機「桜花」に近いかなという印象がありましたね。
尾翼などは他の収蔵品の影に隠れていてよく見ることはできませんでした。
なにより撮影禁止だったので残念ながら写真はありません……

あとモグラ研究で高名な川田先生のお話(剥製でみる収斂進化について)が聞けたのもたのしかったですね。
ツアー最終組ということで時間短縮のため途中で説明が打ち切りになってしまったのは非常に残念でしたが……
あとこれでもかというくらいの縄文~江戸時代までの頭蓋骨も並んでるので骨好きの人にはたのしい空間です。
それと、おみやげに恐竜の下敷きをもらってきました。

さすがに来年も行くかどうかわかりませんが、また何年かしたら遠足気分で行ってみたいなと思っています。
研究棟はオープンラボで4月にたった1日だけしか公開されませんが、同敷地内の植物園は一般公開されていて、
そこだけでも結構見応えがあるんで機会があったらまた行きたいんですけど、なにせ遠くて……

いちおう私は友の会に入っているので上野本館も目黒の自然教育園も筑波実験植物園も入場無料なのです。
年に3回ほどある特別展示も入場チケット(1800円*3枚)をもらえるし、専門誌(500円*年6冊)も送られてくるので、
年会費4110円のわりにずっとお得なので興味のある方はおすすめですよ。
家族4名の2年会員が11320円で合計5万円分近い特典がつくので科学や恐竜、動物が好きなお子さんがいるならぜひ!


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