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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
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ラノベ的ヒーロー・ヒロインの起源を求めて(4)

ラノベ的ヒロインの源流を辿る2回目です。
前回は「萌え」を中心に考えて、辿りついたのは母性と処女性を兼ね備える女神でしたね。
今回はずっと時代を下って、ライトノベル誕生前夜の話をしようと思います。

ライトノベル元年をいつにするかというと、いろいろな説があるでしょうが
今回は『ロードス島戦記』の小説第1作が刊行された1988年を元年と定めたいと思います。
そして最初のラノベ的ヒロインの誕生は『スレイヤーズ』のリナ・インバースとするなら
ラノベ的ヒロインの初登場は1990年とラノベ歴2年のこととなります。
それ以降のことについては、私よりもみなさんのほうが詳しいかもしれませんので
ここでは割愛させてもらって、話の中心はラノベ歴前のこととなります。

ラノベ以前には、中高生向けの作品がなかったのかというと、そうではありません。
児童文学とは一線を画した存在として、ジュブナイル文学というのが存在しました。
「ヤングアダルト」などども呼ばれていたこともありますが、
どうにもAVを連想してしまい卑猥なイメージがあるため最近では使われていないようです。
このラノベ以前の和製ジュブナイルというのは、学園SFが多かったんですね。
もともと日本のジュブナイルはジュール・ヴェルヌの『海底二万里』などのSF小説に感化され、
戦前から押川春浪の『海底軍艦』や海野十三の『火星兵団』といった空想科学冒険小説が
少年たちの人気を博していたこともあって、その流れを汲んでSFが多いのです。
ですが、当時はまだ少年の登場人物が出てきても、それは添え物の傍観者にすぎず
ストーリーを動かす主人公は常に大人であったのは、以前にもお話ししたとおりです。

しかしながら漫画の『サイボーグ009』(1964-)にも見られる時代の潮流として
ジュブナイルにもハイティーンの登場人物が台頭してくるわけですが
後にエポックメイキングとなる有名なジュブナイル作品挙げるならば、
筒井康隆の『時をかける少女』(1967)と眉村卓の『ねらわれた学園』(1973)でしょう。
この2作品は小説よりも映画とテレビドラマとして有名だったりします。
以下に2作品の映画化、ドラマ化の一覧を示してみます。

『時をかける少女』
<映画>
1983年 『時をかける少女』主演:原田知世 監督:大林宣彦 (角川)
1997年 『時をかける少女』主演:中本奈奈 監督:角川春樹 (角川)
2006年 『時をかける少女』声優:仲里依紗 監督:細田守 (角川)
2010年 『時をかける少女』主演:仲里依紗 監督:谷口正晃
<テレビドラマ>
1972年 『タイムトラベラー』『続 タイムトラベラー』 主演:島田淳子 (NHK)
1985年 『時をかける少女』 主演:南野陽子 (フジテレビ)
1994年 『時をかける少女』 主演:内田有紀 (フジテレビ)
2002年 『時をかける少女』 主演:安倍なつみ (TBS)

『ねらわれた学園』
<映画>
1981年 『ねらわれた学園』 主演:薬師丸ひろ子 監督:大林宣彦 (角川)
1997年 『ねらわれた学園 THE MESSIAH FROM THE FUTURE』 主演:村田和美 監督:清水厚
<ドラマ>
1977年 『未来からの挑戦』 主演:佐藤宏之 (NHK)
1982年 『ねらわれた学園』 主演:原田知世 (フジテレビ)
1987年 『ねらわれた学園』 主演:新田恵利 (フジテレビ)
1997年 『ねらわれた学園』 主演:村田和美  (テレビ東京)

どちらも何度も映画化、ドラマ化されている作品ではありますが、
ここで注目すべきはラノベ以前の時代の作品の主演女優です。
原田知世は映画『時をかける少女』とドラマ『ねらわれた学園』の主演女優であり
映画『ねわられた学園』の主演は薬師丸ひろ子だという点です。
どちらの作品も小説として見た場合、旧来の小説の流れを汲んでいるため
現在のライトノベルのようなキャラクター小説にはなっていないのですが
殊に映画とドラマに関して言えば、原田知世と薬師丸ひろ子の存在感は大きく
演技の上手い下手という次元を越えて、ふたりは大人気となり
彼女らアイドルによるキャラクター映画が大量に制作されることになるのです。

つまり現在では2次元(イラスト)のラノベ的ヒロインが主流ではありますが
ラノベ以前では2次元ではなく3次元がラノベ的ヒロインだったというのが私の仮説です。
なぜなら当時のアイドルは神聖化されていて「トイレにも行かない」と
大真面目に語られていた最後の時代だったということもあります。
そうなのです。当時のアイドルは2次元と同じくらい非現実的存在であったのです。

アイドルは等しくファンに笑顔をふりまき擬似恋愛を提供すると共に神聖にして不可侵でありました。
これは太古の昔より続く「萌え」と同じ系譜であり、2次元ヒロインと何ら変わることがありません。
唯一、ちがうのは彼女たちは実在するがゆえに年をとるということくらいでしょうか。
それでも原田知世、薬師丸ひろ子のふたりは映画の主題歌など歌も歌いましたが
松田聖子などの歌手アイドルとはまた異なり、あくまでも映画スターとして活躍していたことで
あくまでも素の女性というよりも作品の中での役としてのイメージが強烈だったのです。

よって私はラノベ的ヒロインの誕生は1981年の映画『ねらわれた学園』における
薬師丸ひろ子(三田村由香役)だったのではないかと主張するものなのです。
すべてのラノベ的ヒロインは薬師丸ひろ子によって、そらに原田知世が続くことにより
はじめてメディアに具現化したことで現在のラノベにおけるヒロイン隆盛があるのではないでしょうか。

また『ねらわれた学園』は以降の角川のメディアミックス戦略の先駈けともなる作品でありまして
奇しくも現在のラノベ界を独占するのも、また角川だというのは偶然ではなく必然なのでしょう。

次回は、もうひとつのラノベ的ヒロインの系譜につながる
『うる星やつら』と『タッチ』について書く予定でいます。


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