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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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ライトノベル創作教室ラノベりあん 中二病でも書けるライトノベル教室♪

小説の楽しい書き方講座ブログ 毎週開催の創作塾と連動中!

一段深い設定をすると、物語の幅も拡がるという話(1)

今週の創作塾でのことで気になったのですが、どうも女性陣のプロットがいつもいつも王女様と王子様しか出てこない……
たしかにそういう傾向の作品が受賞していますし、売れてもいるのでしょうが、どうにもこうにも画一的で陳腐なんですね。

で、どういうことかと考えたのですが、ストーリーのメインディッシュは王女と王子のラブストーリーなわけですが
そうしますと、ふたりが結ばれるまでの紆余曲折の物語が描かれることになります。
そこで出てくるのが「謀反の話」か「隣国が攻めてくる話」のほぼこの2パターンしかないというのが
長年、創作指導してきた経験則だったりします……本当に驚くくらいそればかりなのです。

とはいえ、それらは王道路線ですから、それもまたいいでしょう。
しかし、指導の一環としてそれを踏まえて突っ込んだ質問すると、その先をまったく考えていないのですね。
つまり「隣国が攻めてくる目的」とか「戦後どうするつもりなのか」ということをほとんどの女性作家志望者は考えていません!
思い当たる人はよく考えてみてください。
チンギス・ハーンとかアッチラみたいな騎馬民族でも限り、そうそう安易に戦争なんてしかけませんよね。
第一、戦争は仕掛ける方も一大事です。なぜならとてつもなくお金がかかるからです。

たとえば1905年の日露戦争の借金を日本政府が返済し終わったのは、ちょっと前の1981年だったりするわけです。
兵隊は徴兵するにしたって、それに武器や防具を与え、一定期間の訓練を施さないといけないし
さらには一度、集めてしまえば部隊を解散するまで数万、数十万の人間を養うだけの食糧を用意しないといけない。
加えて農民を徴発してしまうと、農業生産力はそれだけ落ちますから国の収入も減ってしまいます。
いっぽうで古代ギリシアの重装歩兵や中世の騎士、鎌倉武士のように有産戦士階級に頼った軍隊にするにしてもです。
中世騎士も馬と甲冑を自前で用意するだけで、ちょっとした城が買えるほどの出費が必要だったんですね。
日本でも大鎧だけで現在の価値で約一千万円くらいの値段がしたとかいうくらいです。
これに加えて数人の従者を伴って戦地まで赴く旅費や交通費、飲食費などがかさみますし
さらに騎士の場合、敵の捕虜にでもなったら身分に応じた莫大な身代金を支払わないといけなくなるわけです。
農民兵にしろ騎士にしろ国王に「さあ、戦争に行ってこいや!」といわれても、そう簡単にはいかないんですね。

じゃあ、それだけの莫大な金額を費やしても戦争をする目的って何ですか?
少なくとも「なんとなく征服してみたいかな」とか個人的な怨恨程度の理由じゃないですよね。
戦争をするということは敗戦するというリスクを冒してまで遂行するだけのリターン、つまり金銭的利益があるからです。
じゃあ、その利益って何なのか考えてますかというと、たいていの人はプロットの段階で考えていないし、
ついに作品を書き終わっても、そんなことは一行も書いていないし、そもそも考えることすら思いもよらないのです。

じゃあ、実際に戦争や侵略をする理由ってなんなのか実際の歴史などを参考にして調べてみましょう。
たとえば肥沃な土地や鉱山の掠奪、通商の要衝確保、安全保障(やらないとやられる)など多岐にわたるでしょう。
時代や地域によって戦争をする理由も様々だったりします。
同じく謀反を起こすにしたって戦争と同じく理由がありますし、裏切る味方を募るにしても利益を示さないといけません。
王様がムカつくから殺してやろうとかいうのは、もうイカレポンチか原始人かということになってしまいますよ。

で、ここでまた考えて欲しいのは、あなたの作品の王女様の住む国はどういう国なのかということです。
上では戦争を起こす理由を考えてみましたが、じゃあ戦争がないときはどういう国なのかも考えておきましょう。
たいていの作家志望者の考えている国というのは、もうディズニーに出てくるようなメルヘンなおとぎの国レベルだったりします。
グリム童話みたいなストーリーなら、そういう設定でもいいでしょう。
でも、隣の国との戦争やら大臣の謀反やらが起きるようなストーリーでそれはマズい!
たしかに男性作家志望者のように設定しすぎて書き込みすぎてもよくないけれど、書かないまでも考えてないのがダメです。

そして大半の作家志望者が考えていないから、いつも同じような安直なストーリーやエピソードしか出てきません。
謀反を起こすにも国王を排除して自分が成り代わりたいだけみたいなことをいつまでもやっていては成長できません。
王を裏切るにしても自分自身や諸侯、国民に示す大義が必要だし、協力者には利益を約束しなくてはいけませんよね。
大義をどうやって示して説得するのか、また協力者を買収するための金の工面や官職の保証はどうするのか?
そして裏切りに成功した暁には前王一族にどのような処分を下し、簒奪者はどのような統治を行うのか?
細々としたところでは前王派残党掃討や、謀反の協力者ではあっても後に禍根となりそうな人物の粛清も必要です。
他にもいろいろとやらないといけないことは雑多です。

こうして、ごく当たり前に順を追って考えていくと、当然いきつくであろう疑問というものがあるはずです。
でもだいたい95%の女性作家志望者は、この程度の当たり前の疑問をスルーして物語を書こうとしてしまうため
薄っぺらいスカスカの内容、ファンタジーといえどもリアリティがない、最悪なことにワンパターンというドツボにはまっています。

世界史などから仕入れた知識として、ある程度は細かい設定や一段深く突っ込んだ設定を考えられる人というのは
その設定や疑問から今までにはない新しいアイデアを思いついたり、オリジナリティを出すことができるわけです。
これを考えられない人は、いつも同じアイデアしか出ないし、ひたすらテンプレの内容しか思いつきません。

長くなったので、この続きは次回に。
次回は、じゃあいったいどんなことを設定するとよいのかということを具体的に考えていきましょう。




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