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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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一段深い設定をすると、物語の幅も拡がるという話(2)

前回の続き、特に女性向けラノベ作家志望者が陥りやすい欠点についての考え方のちょっとしたアドバイスとなります。

前回では女性作家志望者はファンタジーのプロットを考えてもらうと「謀反の宮廷陰謀」と「隣国の侵略」ばかりで
しかもこれらを深く考えていないので、たいていワンパターンであり従来作品や他のライバル投稿者の作品と差別化できないため
なかなか成長できないままになってしまっているというお話でした。詳しくは前回分のエントリーを読んでください。

それでは今回は、ならば「ファンタジー作品」を書くときに設定として頭のなかで考え、整理しておくべきことを挙げていきましょう。
とはいえ、実力のある人であれば言われなくてもやっているものです。できていなかった人は一層の精進をお願いします。

まずファンタジー世界、ここでは特に多い「西洋風ファンタジー」の俗に「中世ヨーロッパ風」と呼ばれている
一般的な世界をベースに考えてみたいと思いますが、ここで最も注意しないといけないのは女性向けファンタジーの99%以上は
実は「中世」ではなく「近世」をベースに構築された文明レベルだということをしっかりと理解しておきましょう。
具体的にはヨーロッパでいうところのルネサンスから産業革命前までの世界ということですね。

実際の中世というのは「暗黒の中世」と呼ばれるくらいで、古代ローマ帝国の高度な文明を蛮族の侵攻により失ってしまい
その蛮族たちが築いた粗野で野蛮、不潔な文化レベルと、キリスト教への苛烈な信仰により精神を支配された世界です。
王族も貴族もほとんど文字を読めませんし、とにかく暴力的なほど英雄とされてしまう気風さえありました。
疫病と飢饉が蔓延し、異教や異端宗派は皆殺しが日常ということで、日本の作品では少ないですが通常「ダークファンタジー」と
分類されるジャンルの作品に近いのが実際の中世なんですね。でも、あなたの作品はダークファンタジーではないはずです。

王侯貴族があるそこそこの教養を持ち、宮廷騎士が王宮に侍っているような世界観は、だいたい近世前半の文化レベルです。
もともとメルヘン、童話、騎士物語といったものが創作されたのが近世になってからで、そのときの世情を反映されているのです。
中国でも『水滸伝』では【宋の時代】の史実を脚色したものですが、文化や習慣は執筆された【明の時代】のものとなっています。
当時の人は時代考証ということはあまり関心もなかったので、そういうふうになっていったのです。
史実に忠実にやる必要は微塵もありませんが、そういうことを前提となる史実を知っているのか知らないかは
物語を創作するにあたってアイデアをひねる際に大きく影響してきますよ。歴史にはアイデアの種が無尽蔵に埋まっています!
ではさっそく、あらかじめ創作前に考えておくべきことを項目としてみていきましょう。

まずは基本的なところから【地理】です。
その国が沿岸にあるのか、内陸にあるのか、はたまた島国なのかといったことですね。
国の地理により経済産業や軍事、文化などは大きく変わっていきます。
さらに内陸国でも平野が多い土地と山岳地域では、産業構造や人口の数なども違ってきますよね。
フランスのように肥沃な平野の国であれば大きな人口を抱えられるので大国になりやすいわけですが
スイスのように険しい山岳地帯であれば農業が発展しにくく結果的に人口も少なくて貧しくなります。
あるいは、よい港があれば異国との貿易で発展できるわけでイタリアの都市国家のように小国でも豊かになるでしょう。
基本的に経済的に豊かな国ほど文化や文明は進歩し、貧しい国はそれほど文化は発展しにくく素朴になります。

つぎに地理と同じく【気候】も大事な要素です。
温暖な国であれば農業が盛んになりますが、ロシアのような寒冷な国では大国であっても農業に適しません。
また寒冷地法は農業で自活できないため、モンゴルやバイキングのように掠奪を生業とする部族や国家となりやすいですよね。
スイスのように時計産業が成立するまでは他国への傭兵派遣が収入を得る唯一の方法だったような国もあります。
そして傾向として快適な気候ほど宗教は多神教となり融和的な教義になりますが、砂漠や寒冷地で発生する宗教は
自然の厳しさをそのまま神格するためとリーダーの重要性が高まるので、厳しい戒律の一神教になりやすいなど
その土地の習慣や気質などにも大きく影響を及ばしていきます。
南国の人が一般的に怠惰なのは家の裏山に行けばパパイアやマンゴーがいつでもあるし、海には魚もたくさんいるから
特に仕事しなくても生きていけるからであり、そのため文明を進歩させる必要もないので原始的に留まりやすかったりします。

そのつぎに【国家体制】についても考えておきましょう。
たいていの場合、「国王」がいて、その子弟の「王子」や「王女」が主人公の物語が多いわけですが、実際その王様は何者なのか?
そこのところをしっかり考えている女性作家志望者には未だ出会ったことがありません。
まず「王政」であってもどういう王政が存在するのか知っていますか?
中華皇帝やルイ王朝のような中央集権的な絶対王政もあれば、議会が優先される英国や日本のような立憲君主制もあります。
または実権もなければ統治する土地もなく、有力諸侯の選挙で選ばれる神聖ローマ皇帝なんてものも存在していました。
あなたの作品においては文明レベルは近世となっていますので、国王が直接政治をとりしきる親政というのは現実味がありません。
中世であれば封建制により王と諸侯・騎士は契約の上に主従関係を結びましたが、基本的にゆるい関係であり
王もまた絶対的に強者ではなく、かえって他の諸侯ほうが強い場合もあったので国の統治は不安定でした。
つまり王のやりたいようにやれないわけで、配下の有力諸侯や騎士たちの言い分を聞かないと反乱を起こされてしまうのです。
よって隣国の侵攻というのがあったとき、有力諸侯が裏切ることも多く長期間の乱戦になりがちなんですね。
そういう世界観でやりたいなら百年戦争や薔薇戦争などを参考にしてみてください。

さて、上記のような古い封建制を覆したのがフランスの太陽王ルイ14世で、国家の権力を国王に集中させることに成功して
今まで地元の領地で武装していた諸侯や騎士たちを王宮に集めて近くに暮らさせ、その軍事力を削いだわけです。
日本でも徳川幕府が天下統一を果たした江戸時代になってからは参勤交代というのがありましたよね。それと似ています。
これと前後して今まで諸侯や騎士に頼った少数精鋭の軍隊から傭兵や国民兵など大兵力動員が可能になっていきます。
こうなると騎士たちの存在意義が薄れてしまったため、騎士が懐古趣味で作らせたのが今に残る騎士物語の数々です。
とはいえ最初に国民兵を導入したのはナポレオンなので、あなたの作品ではちょっと進歩しすぎかと思いますから
ここでは騎士から傭兵へと軍隊の主役が変わったくらいの雰囲気がちょうどいいのかもしれません。
一口に「傭兵」とはいえっても日本のよくあるファンタジー的な傭兵と史実の傭兵はまったく異なる存在なので注意してください。
史実の傭兵というと犯罪者やゴロツキをはじめ、数合わせで誘拐された農民や乞食も多数含まれているので
お世辞にも立派なものでありません。ただし傭兵隊長クラスだと貴族の庶子(私生児)や騎士くずれが多かったようです。

あと、このくらいのレベルの文化レベルにおいては、通常は合議制なり議会制が発展していって
王様も議会の承認なしには好き勝手な政策で国を動かすようなことはできなくなってきています。
それ以上に国家の予算や施策などの規模や複雑さから国王がひとりでどうこうできるレベルでもありません。
しかし実際に独りでやろうとしたのが後醍醐天皇の「建武の新政」で、結果的に大きな混乱を招いて失敗したと習いましたよね。
また大臣職も貴族だけではなく王の任命する大商人など民間登用も多かったので、ますます権力とカネ、軍事は国王に集中し
中世の頃とはうってかわって王と貴族たちとの権力の差は広がってゆく時代でもありました。

今回は大枠のみではありましたが、このくらいにしましょう。次回は国を動かすために必要な経済や産業について書く予定です。
国によって収入を得る方法はいろいろ異なりますし、収入のことを考えていないでの国家運営もありえません!
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