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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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一段深い設定をすると、物語の幅も拡がるという話(3)

さてさて、このシリーズも長くなりましたが、あと2回で終わらせたいと思います。

前々回は主に【軍事】などについて、前回は【地理】【気候】【国家体制】の4項目について考えてみようというものでした。
今回の第3回目は【産業】【経済】【流通】を、次回は【技術】【文化】【宗教】の6項目について簡単に触れておきましょうか。
ここらの設定はこだわるともうキリがないので、ここではできるだけ簡潔に述べるようにしたいと思います。

まず【産業】についてですね。一般的な女性向け作品における西洋ファンタジーであるなら、
だいたいどの国も主な産業は「農業」および「牧畜」が基盤となるでしょう。
あまり深く考えなければ小麦が主な穀物なんでしょうか。牧畜なら牛、豚、鶏、羊、山羊、馬などの家畜がいるのでしょう。
ただし現代の感覚よりも収穫の効率はずっと悪いことを考慮しておいてください。
つまり基本的に食べ物は今の感覚よりもずっと”高価”です。
たとえばずっと値段の変わらないタマゴ(鶏卵)は大量生産が可能になり効率化されることで値上げされていないだけなので
江戸時代くらいになっても農家が片手間に飼育している地鶏から採取できるタマゴは数が少なく今なら1個500円くらいでしょうか。
基本的には昔はどの食物も無農薬有機栽培なのですから現在の価値観とすると最高級品の値段を想像するといいでしょう。
また農業にとって最重要の治水、灌漑は大規模な土木工事を伴い莫大な費用も要するので
それを指揮統括するには君主の権力と財力がないと不可能であり、安定した大国であるほど農業技術が進歩していきます。

農業以外だと大工や石工、鍛冶屋など専門技術職はいますが工業生産品というのはほとんどありません。
雑貨などは農家の片手間の副業として作られていることが多く、同一規格で大量生産できません。
そして国家財政を潤すものとしては鉱山経営などが盛んに開発されていました。
金山、銀山など国家や領主が直接経営すれば、年貢や税とはちがいまる儲けなので利益も高いので魅力的です。
あとは海外貿易ですがこれは後述の【流通】のときに。


【経済】は複雑で難しのですが、最低限考えるべきは、どのように人々は生活を営んでいくのかということを考えましょう。
ヨーロッパの場合、通貨が早くから導入されてきましたが、主な効果は銀貨と銅貨になります。
金貨や金塊というようなものは貴族でもない限り使用しませんでしたし、物々交換もまだ多かったでしょう。
また為替や手形というものはまだ普及していないくらいのほうがわかりやすいかもしれませんね。
ただ注意が必要なのは経済というのは自給自足的な生活では発達しないものです。
簡単に言ってしまえば、余っているものを売り、足りないものを買うことで経済がまわります。
貿易などが発展すればするほど、そして職業が専門化、分業化すればするほど経済は複雑になっていきます。
なので同じ国内であっても都市と隔絶した寒村などは経済に関する考え方も違ってきます。

そこで生産された経済商品を動かすのが【流通】です。
そして今も昔も流通の主役は海路、つまり船による輸送です。
地中海のような内海ならガレー船、大西洋のような外洋なら大型帆船が海運と海軍の主力となります。
ガレー船というのは古代からあるタイプの船で帆走もできますが基本は50~200人くらいの漕ぎ手がオールで漕ぐ船です。
人を多く載せるため人だけでなく食料や水もあって荷物の積載量はあまり多くないですが無風、逆風でも進めるし早いのが特徴で
イタリアの都市国家が商船兼軍艦として好んで使っていたタイプです。
漕ぎ手は若手商人でオールを漕ぐ代わりに一定量の手荷物を船に持ち込めてそれを渡航先で売買することができ
またイスラム勢力や海賊に襲われたときは全員が兵士となって戦うため、海軍力としても最高峰でした。
逆にイスラムのガレー船の漕ぎ手は鎖につながれた奴隷なのでイタリアの船と戦うとまず勝ち目はなかったようです。
またガレー船は長距離の移動が難しいため中継地点である島々の確保と防衛は貿易立国としての至上命題でした。
大型帆船は基本的には新大陸発見とか大航海時代が前提となって開発されたものなので文明度としても
遠洋航海が可能な文明レベルとして設定した場合に用いるべきでしょう。

陸路については古代ローマでは石で舗装された街道を網羅して迅速に大部隊を行軍させられるよう整備していましたが
中世にはメンテナンスも行われず、近世に至っても当時のような舗装道路はほとんどなくなり路面はあまりよくありません。
商品は馬車もしくは荷駄によって運びますが、船と較べると積載量もスピードも格段に劣ります。
ですので内陸部の都市よりも港に近い都市のほうが大いに賑わい発展します。
その際たるものが異国との貿易であり、香辛料や美術品など稀少価値から高値で売買されるので国も富み栄えます。
ですから内陸の町ならば河川を有効に使って流通に用いたり、人工的に運河を作ることになります。
古代中国では昔から都は内陸部にあることもあり隋(7世紀)に総延長2500キロの運河を開削しました。
このような大規模工事もまた統一王朝の権力があってこそのもので、小国が分立しているような情勢では不可能です。

あと大前提として冷蔵・冷凍技術などはないので新鮮なものを遠くに運ぶということは不可能です。
生産地以外では生鮮食品などはありません。食料品といっても、ほぼすべて保存食に加工した食品となります。
牛乳を飲むよりもチーズやバターを食べる機会が圧倒的に多いでしょうし、生肉よりもハムやべコーンが主体となります。
もちろんサラダなんてものは古代ローマ人がいなくなってからは20世紀の終わりになるまで一般には食されませんでした。
野菜などもほとんどが酢漬けや塩漬けなどしたものしか口にできなかったし、しようとも思わなかったのです。

今回はこのへんで終わりです。
今回の項目もそうですが、すべての項目にわたって、上は国家規模から下は庶民の日々の暮らしまで
ひとつの設定が決まるだけで、全体に渡り大きな影響をおよぼしてきます。
完璧にシミュレーションしろとまでは言いませんが、あらゆる設定が複雑に絡み合い影響を及ぼすことだけは憶えておきましょう。
そして、そのシミュレーションをする際にパターンとして役に立つのが実際の”歴史”です。
年号や歴史的重大事件を覚えるような歴史の勉強ではなく、その次代を生きていた人々(王侯貴族も農民も)が
どんな暮らしをしていたのか、食べていたもの、年中行事や祭祀、その他風習や風俗などに思いを馳せてほしいものです。

たとえばアメリカ人(英国人)はベーコン風味のコーヒーとかベーコンの香水があるくらいベーコン好きなのは有名ですが
すでに11世紀には十字軍でエルサレムに向うイギリス騎士たちに自分たちの船を利用してもらうため
とあるイタリア商人が考えたキャッチコピーとして「聖地までの船旅の食事にはベーコンが付きます!」という記録があり
その当時からアングロサクソンは無類のベーコン好きだったというような逸話まで膨大な歴史には無尽蔵に秘められているのです。
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