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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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一段深い設定をすると、物語の幅も拡がるという話(4)

ついにこのシリーズの最終回です。
今回、触れてみるのは残り3つの【技術】【文化】【宗教】となります。

まずは【技術】について。
西洋風ファンタジーの場合、中世っぽい雰囲気ながら実質は近世という文明を築いているというのが前提としては
だいたいにおいては「産業革命」以前の文明レベルということを念頭に置いておくべきでしょうね。
そのくらいのことはよくわかっていることでしょう。
ただし最近では産業革命での奇形的な進化を遂げたスチームパンク要素のある作品も増えていますというか
欧米の西洋風ファンタジーではほぼスチームパンク風味はほぼ必ずあり、蒸気機関のおもしろ機械類が登場しています。
あと銃砲の有無については好みでしょうが、あったとしても青銅砲に前装式滑腔銃(マスケット、火縄銃)あたりでしょうか。
爆弾のたぐいはについては、すでに古代から「ギリシア火」のような焼夷弾や中世の「てつはう」などの手榴弾もありました。

建築、冶金、木工といったものはほぼ揃っているといっていいでしょう。
コンクリート的建築も既に古代ローマ時代には確立されていました。ただし鉄筋コンクリートは19世紀になってからです。
今では安価なアルミニウムもボーキサイトから精製するのに大量の電力が必要なため19世紀終わりまで超高価な貴金属であり
アルミニウムのネックレスは黄金のネックレスよりも羨望の眼差しだったりした時代もあるわけです。
木工についてはやはり日本のように森林資源の豊富な地域で発展していきます。
しかし古代文明発祥地ではたいてい植林をしていかないので建築と燃料利用のために周辺地域の森林資源は枯渇し
砂漠化していることなども合わせて考えてみると、いろいろアイデアが出てきたりもするでしょう。

また現代人にとって忘れがちなのが医療の一部である「公衆衛生」の概念が一般化したのはここ最近のことです。
「飲料水と汚水を区別する」や「病気予防に手洗い」という真っ当な事実が一般に認識されたのは
やはり19世紀に入ってからのことで、それ以前の人々にはその程度のことも理解されていませんでした。

つぎに【文化】ということになりますが、これは多岐にわたるので説明しにくいのですが、
文化というのがどのように作られるのかということを想像し、シミュレーションして自分なりの世界観での分化を築いてください。
文化はその地域の自然風土や人々の生活、文明レベル、宗教観、歴史などの要素が複雑に絡みあって生じるものです。
一般に平和な時代、安定した政治下において文化は発展して花開いてゆきます。日本の江戸時代もそうですね。
戦乱の時代には日々の糧を得ることや生き残りを賭けた戦いに明け暮れるので文化の発展は遅れがちです。
ただし戦争が多ければ兵器利用のために科学技術は躍進していきます。

最後に【宗教】です。
日本人は宗教観が原始アニミズムの段階で止まってしまっている独特の神道に基づいた認識をしていて
これをもとに仏教やキリスト教を見ているので、ちょっと面倒なんですよね。
ちなみに日本人は「無宗教」という誤解がありますが、無宗教ではありません。
縁起をかつぐ、幽霊を怖がる、星座占いを気にするだけでも、それなりに宗教観を持っていることになります。
宗教を大別すると「多神教」と「唯一神教」の二派に分かれます。
多神教は神道やインドのヒンドゥー教などであり、一神教はアブラハムの宗教ことユダヤ教、キリスト教、イスラム教です。
多神教は基本的に生活習慣や儀式に関するしきたりはあっても、教義が曖昧なことが多いです。
これは征服していった複数の民族の神々を習合してしまって全体の整合性が破綻してしまっていることにも一因があります。
この点、一神教は征服した民族や敵対する民族の神々はすべて悪魔にしてしまうので破綻しにくいんですね。
ユダヤ、キリスト、イスラム3教共通の神であるヤハウェは元々はシナイ半島の弱小山神の一柱だったと言います。
この地方には他により有力な神々(バル-、ベル-など「王」を冠する名の悪魔が多いのもこのため)がいましたが
古代ローマ帝国でキリスト教が国教に定められ、世界展開したことにより今では弱小神だったものが唯一の神となっています。

設定として考えるなら、多神教が信奉されるのは基本的に自然が温暖で豊穣であり、教義もゆるいものが多い。
ただし生け贄(人や動物など)など原始的な儀式が残りやすいのも多神教のひとつの特徴です。
それぞれ願い事によって人間は都合よく神を複数使いこなすことが多く、神話での神も妙に人間くさいものです。
最高神は男神であっても、実質的な信仰の中心は大地の豊穣を司る大地母神に多くの信仰を集めるでしょう。

対して一神教が信仰されるのは砂漠や荒れ地など自然が厳しい地域であることが多く、
さらに厳しい生活の中、一族の生き残りのためにリーダーである家長の権限が強い家父長制だったりもします。
ですから女神ではなく唯一神は男神でなくてはなりません。教義もしきたりも厳しくルール違反を絶対に許しません。
これは社会生活でもルール違反を認めることで容易に全滅してしまいかねない過酷な実生活に裏付けられます。
このような厳格な戒律により宗教によって人々は秩序と契約を重んじる文化が生まれます。
ただし副作用として異端、異教、異民族に対して非常に厳しい態度や迫害、殺戮を正当化する教義が強調されます。

以上4回にわたって書いてきましたが、自分だけのファンタジー世界を考えるにしても歴史や地理、民俗学など
最低限の知識がないと、既存作品から上澄みだけをなぞった凡庸な世界しか想像できません。
そもそも『ロード・オブ・ザ・リング』の作者からして言語学者として異世界の各種族の言語をイチから構築するという
とんでもないマニアックな観点で作られた経緯があるわけで、実はファンタジー作品は奥が深いんですね。
私もこだわったときには、異世界のある惑星の大きさから自転周期や重力についてまで計算して作ったこともありましたが
まあ、そこまでやるのは完全にやりすぎなのでやめておいたほうがいいでしょう。
とはいえ現代日本の学校が舞台の作品より必要な知識は非常に雑多になるので、自分なりに知識を深めていってください。
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コメント

問題提起:02

from PASTOR
矛盾のない設定が作品としての魅力のファクター、その一つであることは間違いない。
しかし、小説において読者が求めるのは物語であり、特にライトノベルは知識も語彙も限られる中高生が対象となる。
書くべきはまず第一に『面白い』ストーリーであり、数百ページに及ぶ取扱説明書や、衒学を目的とした自己満足の端書は、論点がずれているのではないか。

小説家はエンターテイナーに徹するべきであり、作中でキャラクターが興味を持たない限り、世界観の詳細は語るべきではない。それはキャラクターの感性を否定することに等しい。

スティーヴン・キングがその著作で語るように、第一稿から贅肉を削ぎ落とすことが、まず肝要ではないか。
発想力はさほど問題ではない。トールキンやC・S・ルイスとて、着想は旧約聖書の焼き増しだ。

作家は、まず刃を研ぐ方法を身に着けるべきだ。
比喩を使わずに言うならば、プロットや梗概を練るよりもまず、作家は文章を書きながら徹底的に自己分析と自己批判を繰り返すべきだ。
自らと登場人物の差異を認識し、キャラクターの思想を完璧にエミュレートした上で、ストーリーの到着点を納得できるまで修正することこそ、真のテーマ性に繋がるのではないか。
ストーリーを動かすのはキャラクターである。作家は、ただの口述筆記マシンに過ぎない。

Re: 問題提起:02

from UNO=日昌晶
面白いストーリーが書けるなら問題ないですが、どうも塾生をはじめとして初心者はそれができない。
その原因のひとつとして物語を深く掘り下げられない、うわべだけしか考えていない人が多いため、このエントリーを書いています。

なので面白いストーリーが書ける人には不要な記事ですのでスルーしてくださいね。

from PASTOR
Re:Re: 問題提起:02

面白いストーリーを書いた経験を持たないから、ここに書き込んでいるのだが……。高圧的な語り口が気に障ったのなら、私は謝罪する。

私の定義では、作家とは言葉使いだ。面白い話とは何か、と抽象的に尋ねられても、齟齬なく簡潔に解説する義務がある。
私はできなかった。その意味で私は作家ではない。

私は教師を尊敬する。あなた方は説明のプロフェッショナルだ。
ソクラテスを気取るつもりは毛頭ないが、あなたの思う面白い話というものを、私は知りたい。
少なくとも本が出版された以上、出版社はあなたの語る物語が人が読むに値すると判断し、あまつさえ巨額の広告費を投資する価値をそこに見出したはずだ。
つまりあなたの思う面白さとは、出版されるラインに立っているのだ。あなたの経験から導き出される言葉を、私は聞きたい。

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