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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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『ティンダロスの猟犬』を読むと意外にも……

「ティンダロスの猟犬」といえばクトゥルフ神話好きなら、ほぼ100%の認知度があるってくらいの超有名キャラですよね!
猟犬とは言いますが異次元の生物なのでイヌとはまるで違う姿をしているという神話的生物なのです。

ですがゲームやビジュアルなどではおなじみのこのティンダロスの猟犬の登場する作品、
その名も『ティンダロスの猟犬』を読んだことがある人はどのくらいいるでしょうか?
作者はフランク・ベルナップ・ロング・ジュニア(Frank Belknap Long, Jr)で米国の『ウィアード・テールズ』といった
パルプフィクション(大衆小説雑誌)に作品が掲載されていたホラー・SF小説作家です。
ロングの作品として最もポピュラーなのは短編小説『千の足を持つ男』でしょうか。邦訳もいくつかのバージョンが出ています。
そしてくだんの『ティンダロスの猟犬』もまたロングの代表作なのですが、この作品が読めるのは
『暗黒神話体系シリーズ クトゥルー5』(青心社)の中に収録されているくらいなんですよね。

今回、私もキャラの名前は知れど、どんな作品なのかを確かめるべく、この本を取り寄せて実際に読んでみました。
なんと文庫本にして27ページしかない本当に短い短編でした。本当に短い。
何本もの短編や連載小説を掲載するパルプ・フィクションの作品の中でもかなり短い作品です。
そのためストーリー的にもたいした内容ではありません。ちょっとしたエピソードですね。

読んでみたいという人も少ないでしょうから簡単に要約すれば「友人が死んだ。それはティンダロスの猟犬のせいだ!」
以上です。本当にそんなものです。
なにしろ作品の主人公(視点)はティンダロスの猟犬を見ていないんですよ。友人からこんな存在だと聞いただけです。
ただティンダロスの猟犬の放つ臭いを感じたくらいですね。
そのためただでさえあまり怖くないクトゥルフ神話作品においても更に怖くないのです。
ここでラヴクラフト御大であるなら「私のところにもやがてティンダロスの猟犬がやってくるだろう……なんだ、あの音は!」
というような感じでホラー小説のセオリーを守ってくれたのでしょうが、そういう余韻もないんですよね。

そういうわけでキャラとしては独り歩きして非常に有名になった存在なのですが、出典はそれほどおもしろくありませんでした。
でも、これだけ愛されるキャラを考えるというのはロングの手腕だとは思います。
あらゆる鋭角を通して異次元から執拗に襲ってくるというモンスターは創造すると恐怖でしかありません。
それこそ江戸川乱歩の『鏡地獄』のような球体の中にでも避難しない限り助からないでしょう。
それはそれで発狂してしまうんですけどねw

同じようにドラキュラだってフランケンシュタインの怪物だって、ほとんどの人が原作小説を読んだことがないでしょうが
世界的にこれらのモンスターたちを知らない人ってまずいないわけですよ。
あなたの作品に登場するキャラクターは作品としては朽ちても時代を越えて生き続けることができますか?


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