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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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読者のニーズほどアテにならないものはない

よくマーケティング風な会話をすると「顧客のニーズにこたえる」とかそんな言葉が出てきますよね?
でも、それって本当に最善策なのかなというのが今回のお話です。

有名な話として伝わっているのが、ヘンリー・フォードの逸話でしょうね。
世界で初めて自動車の量産に成功してT型フォードを1500万台も売りまくった、あのフォードさんです。
そのフォードさんはT型フォードを開発するにあたって顧客となる大衆の意見は完全に無視しました。
それはなぜでしょうか?

ふつうマーケティングといえば、まず思い浮かぶのはアンケートですよね。
顧客のニーズを知るために必須のものと思われていますし、いろいろなところで実施されていますよね。
週刊少年ジャンプではゲームやオモチャなど読者プレゼントを用意してアンケートはがきを集めては
その人気投票の結果いかんで大御所作家でも打ち切りが決まるというのは有名な話です。

でもフォードさんはそんな大衆の意見は必要ないと判断したのです。
なぜなら大衆の意見なんてアテにならないとわかっていたからです。
実際にフォードさんが自動車を制作するにあたって、大衆が何を求めているか調査したとしたら
「大衆が求めていたのは、より速い馬だったろう」と語っています。

そうです。当時の社会では、すでにベンツなどが自動車を販売していましたが
あくまでもマニア向けでしかなく、大衆にとっての交通手段は、まだ馬車が一般的だったんですね。
だから大衆に何が欲しいと質問しても、自動車なんていう選択肢は毛頭なくて
馬車を基準に考えれば、より早く、より丈夫な馬こそが必要だとこたえるのは当然です。
携帯電話が存在しない時代に外出時の通信環境で何が求められているか質問したら
おそらく公衆電話や電話ボックスの拡充なんて意見が大多数だったでしょう。
ハンディサイズの無線電話端末が欲しいなんて意見はまずなかったでしょうね。そんなものです。

上記のフォードさんの例では、大衆のニーズは、あくまで「より速い馬」だったのです。
もしフォードさんが、このニーズを真摯に受けとめて、馬の品種改良に尽力していたら
自動車王としての成功はぜったいにありえなかったでしょう。
とかく顧客のニーズ(needs)というのは既成概念にとらわれてしまうわけです。

ですが本当に大衆が「速い馬」を求めていたのかというと、これがまたちがいますよね。
T型フォードが売れに売れまくったのは、馬よりも自動車が求められたからです。
つまり大衆に何がほしいと訊ねれば、速い馬とこたえるでしょうが
彼らが本当に欲していたのは「より早く移動できる交通手段」だったんですね。
だからこそ馬より速く、しかもメンテナンスが簡単で、値段も手頃なT型フォードが大ヒットしたのです。
このとき「より早く移動できる交通手段」という顧客の欲求をウォンツ(wants)と言います。
しかし大衆は自分が望んでいるのが、具体的に何であるのかまではわからないのです。

顧客(読者)に「何がほしい?」「どんなのが好き?」と、いくら訊いたところで
あまり意味がないし、ほとんど役に立たないということがわかりましたか?
新しい価値を提供しようというときには、この傾向が特に顕著となります。
クリエイティブな商品である小説などの創作作品は、その際たるものです。
どんな新しい作品を求めているか読者が明確に自分でわかっていたら読者ではなく作者になれますよ。
読者はあくまで提供された作品について、好きとか嫌いとか評価するにとどまるのです。

よって小説家は常に読者の求めている目先のニーズ(流行やブームとも言えるもの)ではなく、
もっと根源的に欲しているウォンツを汲みとって、それをカタチにするのが使命となるのです。

さて、あなたは読者の求めているウォンツについて考えたことが一度でもありますか?
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