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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第1回日昌晶掌篇文学賞 8月期選考結果発表

日昌晶掌篇文学賞も2回目の結果発表となりました。
8月期も大好評で、応募総数51作品でした。
前回よりもコツをつかんだ方も多く、全体的なレベルも向上していて
選考は難航しましたが、どうにか結果を発表するにいたりました。
それでは、さっそく発表(敬称略)にうつりましょう!

【金賞(8月期月間賞)】(副賞:1000円ギフト券)
『完璧な計画』(仮題) ゼミ長

先月の銀賞も完全犯罪ものでしたが、今月は金賞となりました。
べつに選考委員長である日昌晶の趣味だから選ばれているわけではないのですよ。
やはりユーモア作品としては非常にシンプルであり、印象に残る作品として高く評価しています。
特にこの作品がおもしろいのは二段オチになっているところですよね。
最後の3行がなければ、佳作止まりだったかもしれませんが、たった3行で
ともすればバカバカしいだけのギャグをぎゅっと引き締めることで
きちんと小説作品として成立させてくれています。構成力の勝利ですね。
そして完全犯罪の内容がまともなだけに主人公のマヌケさがひきたっています。
惜しむらくは作品のタイトルがなかったので、
便宜上、私のほうで勝手にタイトルをつけさせてもらいました。

<受賞者コメント>
コメント……といわれましても、気の利いたことは言えませんが、
正直なところ、最初は目の錯覚かと思いました。
前回の佳作でも驚きだったのに、まさか金賞までいただけるとは。
掌編はほとんど書いたことが無かったので、
仰天というか驚愕というか……ともかく驚きました。
最後に、題名の書き忘れ、申し訳無いです。
今後もさらに精進を続けて、
またいい案が浮かべば投稿したいと思っていますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

【銀賞】
『全裸学級』  Nei

不条理。それに尽きます。
若人は知らないかもしれませんが吾妻ひでおの漫画を彷彿とさせる
エロで不条理な作風は、なかなかマネできるものではないですよね。
これだけの文章でここまで描ききってしまえることに脱帽しました。
着想、コンセプトともに金賞にしようかどうか悩んだのですが、
最終的に勝敗を分けたのは作品の最後の部分でしたね。最終行はよかったのですが、
その直前の数行については、もう少し読者を強引に納得させてしまうような
不条理さに徹していれば、もう一段、上のステージの作品にしあがったと思います。

【佳作】
『京の夏風邪』 あっきん
『ストーカーはすぐ側に……』 玲レイ
『天使の遺伝子は平等に』 とと
『馬鹿どもに、河童の加護よあれ』 ミカ
『嘘つく』 堕落の天使2@
『コロッケ』(仮題) 貸しましょうか?
『一歩を踏み出す勇気』 飄凛然
『寝過ごした!』 ラムネ
『地図』(仮題) コートニー
『新盆の幼なじみ』  電波だぬき
(以上10作品、投稿順)

『京の夏風邪』は数少ない季節ものでしたね。物語に意外性はないのですが、
小気味よく京都の風物詩を織りこんで情感豊かなところを評価しました。
『ストーカーはすぐ側に……』は、タイトル的にネタバレしてしまっているのが惜しいですが
いかにもライトノベルなノリの軽快さは読みやすかったです。
『天使の遺伝子は平等に』は着想はすごく評価していますが、結末にひねりがなかった。
最後に「おおっ」と思わせてくれれば、金賞になっていたかもしれません。
『馬鹿どもに、河童の加護よあれ』もせっかくの河童という題材をもう少し作品に活かせたら
もっと上にいけたんじゃないかなと思います。河童である必然性がほしかったですね。
『嘘つく』は青春の一コマっていう感じがよく表現できていておもしろかったです。
この作品も最後にひとひねりがなく、一昔前のラブコメ漫画になってしまったのが惜しかったです。
『コロッケ』は、もともと無題だったので、こちらで便宜的につけたタイトルです。
どうも情感と余韻を残す作品が少ないなかで、高いクオリティとなっていので高評価しました。
『一歩を踏み出す勇気』は叙述トリック的な作品ですが、主人公のいじましさがよく描けていました。
全体的に現代詩モドキになってしまっているので、もう少し文章を工夫すると、ぐっとおもしろくなります。
『寝過ごした!』は先月の金賞だったラムネさんの作品ということで、作品のレベルは高いです。
先月のように登場人物がもっと読者に好かれるように描けていれば、もっとよかったですね。
『地図』も無題だったので仮題です。数少ない異世界ファンタジーの世界を800字以内にまとめて
情感豊かに描ききっている点を評価しました。
『新盆の幼なじみ』は、ストーリー自体はよくあるステレオタイプなのですが
巨大なナスの牛に乗ってくるといったガジェットの使い方を評価しました。
普通に終わらせずに、最後をもっと工夫するともっと印象深い作品になりますよ。


《総評》
今回は全体のレベルもあがってきましたので、選考は難しかったですね。
しかし前回は1作もなかったのに、なぜかタイトルのない無題作品が多い、多い……
タイトルも作品のうちです。作者はしっかり題名もつけてあげてくださいね。
それから佳作も含めて全体的に、オチというか、作品の締めがおざなりな作品も多かったです。
ありきたりに終わるならまだいいのですが、結局なにが言いたいのかわからないうちに
プッツリと終わってしまっている作品が目立ちました。
情感を残そうと思ってなのかもしれませんが残念ながら余韻はありませんでした。
ライトノベルでは、あまり余韻を残して書く機会がないのですが
エピローグなどでは有用なスキルなので、ぜひ研究してみてください。
あと先月も書いたと思うのですが壮大なテーマを扱うには掌篇小説は不向きな媒体です。
逆にトリック的なアイデアに夢中になってしまい、物語がおざなりの作品も見受けられました。
掌篇小説は本当に短い作品なので、ちょっとしたバランスの狂いで傑作にも駄作にもなります。
その点を注意して、次回も頑張ってください。


<受賞作品全文掲載>

完璧な計画(仮題) ゼミ長著

 ふっふっふ、我ながら完璧な計画だ。
 まずは妻をレジャーとして山に連れ出し、殺害。他人の犯行に見せかけるために自らも重傷を負い、どうにか車を操り病院へ向かう。問題は凶器の始末だが、これは問題ない。犯人がその場に捨てたことにすればいいのだからな。もちろん、その後は警察に事情を聞かれるだろう。そこで俺があった事がないことになっている妻の叔父をモンタージュ作成の際に犯人に仕立て上げる。もちろん、詳細に答えるわけにはいかない。緊急事態に顔を完璧に覚えられるわけがないからだ。実況見分の際も詳細に答えてはいけない。やはりここはうろ覚えでなければならない。怪しまれない程度に事実と違う出来事を散りばめる必要がある。そのあとはあくまで最愛の妻を失った悲劇の夫を演じ続けていかなければならない。あとは一年前に失踪した――まぁ、俺が殺したんだがな――妻の叔父名義の保険金をスイスの銀行を通して資金洗浄。架空の口座に振り込ませる。
 これで邪魔な妻は消え、多額の保険金が俺に入り、スナックのよしみちゃんとも一緒になれる。完璧だ。なんて完璧なんだ俺の計画。なんて聡明で狡猾なんだ俺。ああ、自分の才能が恐ろしくなるぜ……。
 さぁ、叔父の指紋が付いた包丁の準備は整っている。作戦は明日決行だ……。
「ちょっと君」
 ん、なんだ、人が完璧な計画に酔いしれているというのに……。

「ニュースです。本日午後一時頃、会社員の佐藤一郎容疑者(34)が、殺人及び殺人予備罪の容疑で逮捕されました。都内の喫茶店から『不審な男が包丁を片手に何事かを不気味に呟いている』との通報があり、駆け付けた警官が男から事情聴取。鞄からはプリントアウトされた殺人計画書も発見されており、警察では引き続き……」

 ふん、まぁいい。愚鈍な検察や裁判官を出し抜いて堂々と出て行くまでだ。まずは弁護人と共謀し、完璧な計画を……。

「そういうのは、口に出さず頭で考えるだけにするんだな」



全裸学級 Nei著

 南優花が服を着て登校したら、みんな全裸だった。先生も全裸だった。
 一時間目の算数は中止され、優花が全裸じゃない理由を考える会が開かれた。
 いま、優花は黒板の前に立たされて、うつむいていた。

「よし、先生決めたぞ。南に全裸になってほしいから、手をあげる! 何分でも、何時間でも待つぞ!」
 先生がぴしりと手をあげた。
 すっ、すと次々に手が上がる。

 三人だけ、手をあげなかった。
 太っちょの小杉と、優花の親友の智子と、優花の想い人の野田だった。
「南、SR-71Aはさ」
 小杉が立ちあがった。乳首は陥没していた。
「マッハ3で空が飛べるんだ。すげぇよな。でも俺、全裸になったら百メートル十三秒〇二で走れた。二〇秒台だった俺がさ……そんだけ」
 小杉はしたり顔で着席した。まっぱ十三とでも言いたいのだろうか。
 続いて立ちあがったのは智子だった。
 智子は囚人になった友を見るような目で優花を見つめた。
「お願い優花。馬鹿な真似はやめて……私、私、もう……ひっく……」
 とうとう泣き崩れてしまった。隣の子が慰めて座らせた。
 果たして馬鹿はどちらだ。
「南」
 最後に立ったのは野田である。優花は思わず手で顔を覆った。
「どうして全裸にならない」
「それは……恥ずかしくないの?」
「南こそ恥ずかしいだろ。みんな全裸なのに服を着てる」
 何か間違ってないだろうか。優花は必死に自問自答した。けれども、全裸に対する嫌悪と羞恥の理由はわからない。
 ――思えば。自分は常識というものに囚われて、全裸の本質を見抜けていないのではないか。現に、全裸が絶対間違っているということを証明できない。
 優花はあらためて教室を見渡した。
 みんな真剣な全裸で、腕が痙攣しても決して手を降ろすことはない。
 あぁ、クラスが一丸となって全裸を推進している。それなのに自分は、どうして恥じらい、頑なに全裸を拒んでいるのだろうか。人は何故、服を着るのだろうか……
 優花は徐に、ブラウスの第一ボタンに手をかけた。


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