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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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暦(こよみ)2 架空異世界構築シリーズ

少しあいだがあいてしまいましたが、暦の後編です。
前回は太陰暦を中心に紹介していきましたが、今回は主に太陽暦についてです。

現代人の私たちにとって、もっとも馴染みがあり、農耕社会に最適化されているため
世界標準で使用されている暦は説明するまでもなく太陽暦ですね。
歴史的に太陰暦の発生から太陽暦に変わっていったようにも見えますが実は違います。
なんと、すでに古代エジプトではシリウスの動きから1年が365日であると割りだしていました。
彼らは1年を30日×12月として360日、これに12ヶ月には属さない聖なる5日間をたして365日としました。
太陽暦を定めるには、見た目で判断できる月の運行を基準とする太陰暦とは異なり、
誤差を修正するために1000年単位で閏年を算出するだけの豊富な天文知識と天体観測施設が必須となるので
灌漑設備など高度な農業技術を誇る強大な専制国家に導入されやすいようです。
古代の専制君主というのは洋の東西を問わず、神々の意志を知るために
天空に輝く陽月星辰の動きを見ることに重きをおくので占星術と共に天文学も発展するんですね。

それにしても古代エジプト暦は1月を28日から31日の不規則に設定しているグレゴリオ暦よりも
わかりやすくて合理的な暦法なんじゃないかと思いませんか?
毎月30日だし、残り5日は休日にしてしまえばいいし。
そんなことを考えるのは私だけではなかったようで、実際にフランス革命直後に革命暦として
ほぼ同じ暦法が採用されたそうなんですね。みんな一度は考えることなんでしょうね。
しかも革命暦では1週間七日制も廃止して、きっちり10日ごとに区切ったりもしました。
これはカトリック的な宗教色の強い伝統的なグレゴリオ暦を排除して合理化しようというのが目的でした。
ところが革命後の政治的混乱(相次ぐ粛正による為政者の交替劇や内戦や虐殺事件などなど)もあって
わずか12年余りで使われなくなってしまったので、あまり知られてはいないんですよね。
同じ革命事業であった度量衡のメートルやグラムの制定が成功したのとは対照的な結果ですよね。

ここまで説明してきたところで、それでは実際に作例を示しておきましょうか。
ある異世界の月の満ち欠けの周期が約24日で、惑星自転周期が約350日だとすると
どういう暦にすると読者にとってわかりやすく、かつ独創的になるでしょうか?
月の周期から24日間で1ヶ月とするのが妥当でしょう。
これを更に細分化するなら1週間は6曜日制として4週間で1ヶ月と定めます。
よって1年は14ヶ月(336日)となりますが、自転周期換算だと14日間たりません。
そこで別途、すべての月と月のあいだに「聖なる日」を1日加えます。
この25日ごとに巡ってくる聖なる日は特別な日として祭りが行われたり、市が立ちます。
この暦だと満月を迎える日が毎月1日ずつ遅れていきますが日常生活には問題ないでしょうし、
これを逆手にとって13日の新月の夜は悪霊が地上に出てくるといった伝承や迷信を設定するのもいいでしょう。
いかがですか? それほど読者に混乱を与えることなく、興味深い暦を作ることができます。
また月と月のあいだの特別な日を物語の重要なガジェットとして組み込んだりできると、すごく効果的ですよね。

いま考えたような月と月の間にどの月にも属さない休日を挟む暦法は一見するとオリジナルっぽいですが
本当のところは実在していたんですね。それもソビエト連邦暦(1929-1931)においてだったりします。
ソ連暦では、革命暦と同じように”宗教はアヘン”ということで、できるだけ宗教色を排除したかったので
1週間も5日制(曜日名は色にちなむ)として、国民それぞれに異なった曜日を休日としたんですね。
これで国民全員がシフト制となって一斉に休む日がなくなって生産性が高まるし、
しかも5日に1度も休暇がとれて労働者も喜ぶという思惑だったわけですが
結果としては期待していた生産性はまったくあがらず、
かえって家族や友人との休日がバラバラになってしまうことが大不評で数年で廃止されてしまいました。
いかに古代バビロニア由来の1週間7日制の伝統が人々に深く刻まれていたかわかる逸話ですよね。

それにしても日本でも民主党案で連休を地域ごとにずらして交通機関の渋滞緩和するとか
似たような合理化を計画していますが、たいていこのような合理化計画というのは
共産国のソ連か中国でほとんど実践済みです。そして、ことごとく短期間で失敗しています。
たとえば日本でも熱心に啓蒙されている「男女共同参画社会」を目指すために結婚制度をなくしてみたり
女性も出産後すぐに職場復帰できるようにと全ての子供を施設に集めて集団養育することにした結末は
数年で国内の治安が乱れきり、少年犯罪率が急上昇して、危うくソ連が内部崩壊しかけました。
こういうことからも一見すると非科学的なものを土台とする風習や慣例であっても
それが長く伝統として受け継がれた場合、それを合理的だという理由で変更するのは困難なんですね。

これまで見てきたようにカレンダーである暦法ひとつとっても、いろいろなものが古今東西にありました。
それら実在したものを参考にしながら、読者が複雑すぎて混乱しないような範囲で
しかも独自性をだすことができるものを設定できると世界観に幅や厚みを持たせることができますよ。
これぞ温故知新、結局は新しいものを見つけようと思ったら、古いものを見直すのが効果的です。

さあ、あなたの創造した世界での月日はどのように流れていますか?
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