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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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戦争3(近世編) 架空異世界構築シリーズ

ようやく異世界ファンタジーの世界観でよく見られる近世についてです。

小領主が幅をきかせた封建制の中世世界から、フランスを筆頭に国王による中央集権化が進み
かつての貴族や騎士たちは領主というよりも廷臣や宮廷騎士となっていきました。
よって中世よりも国家として動員できる金も人も増大したことで戦争の形態も異なってきました。
それと銃(マスケット銃など)の登場もまた戦争を劇的に変化させていきます。

まず中央集権で財力が国王に集中したことで、国王は直接、兵士を雇うことができるようになりました。
さすがに金食い虫の騎兵をたくさん雇う余裕はないので、傭兵は歩兵(槍兵、銃兵)が主体でした。
高価な重装騎兵である騎士も少数では、烏合の衆といえど多数の歩兵に敵うはずもなく
また銃火器に対抗できる装甲を纏うのは物理的に不可能であったがために甲冑は無力化してしまい
戦場の花形は騎士から傭兵へと移りゆき、騎士階級は没落していったのです。
この時代、特に有名になった傭兵はドイツの悪名高きランツクネヒトなどですね。

しかしながらファンタジー作品では戦争のプロみたいに描かれる傭兵ですが、
史実の傭兵の大半はならず者か犯罪者、そして人数合わせに拉致されてきた農民が主体でした。
武器や防具も粗悪な槍などをレンタル(もちろん有料)で支給されていまして
身ひとつで戦場を渡り歩くため、鍋釜など生活雑貨から全財産まで全て身につけて行軍します。
ですから、ぱっと見は武装したホームレスみたいな集団だったわけです。
傭兵隊長は傭兵あがりか素行の悪い貴族の三男坊なんかが身持ちを崩してやっていたようです。
給金は農民に較べればそこそこの額でしたが、たいていは傭兵隊長の息のかかった賭場と移動娼館によって
ほとんどの金が巻きあげられて、再び傭兵隊長の元に還元されてしまうシステムになっていましたから
兵士たちはたいてい貧しい生活を強いられていました。

また契約金は兵数によって決まるので、傭兵隊長は兵数を水増しして金を要求するし
下士官もまた戦死者を生きていることにして死人の給料をちょろまかすことが多かったりしたので
契約上の公称の兵数と実際の兵数ではかなり隔たりがあったということです。
ですから軍隊として統率力もなければ、戦力としてもそれほど期待はできません。
平時には獰猛にして戦時には臆病というのが傭兵の相場でした。
掠奪強姦は当たり前ですが、近世までは軍隊の当然の権利なので犯罪ではありません。
それより問題は忠誠心が皆無なので、不利と見るや簡単に契約主を裏切ること、
傭兵隊同士の戦争ではなあなあになってしまい夜襲や奇襲はしないなど勝手にルールを作ったりして
適当に戦ってごまかしたりとかすることでした。

そこで登場するのがスイス傭兵です。
スイスは山岳地帯で農耕は不向きで貧しく、時計など精密機械工業が発展するまで唯一の輸出品が
周辺諸国よりも大柄で屈強なスイス人男性そのものだったんですね。
どうでもいいですが『アルプスの少女ハイジ』のおじいさんも原作では元傭兵という設定だったりします。
スイス傭兵の特徴はブランドを意識したことで、当時の一般的な傭兵と異なっていました。
それは契約主を最後まで裏切らず、最後の一兵まで戦い抜くというポリシーです。
自国の家臣がみんな逃げだしてもスイス傭兵だけは国王を見捨てなかったのです。
今もヴァチカンの唯一の軍隊である傭兵隊がスイス人限定なのは、かつて多大な犠牲を払いながらも
最後まで教皇を守り抜いた実績があるからなんですね。
そのためスイス傭兵は各国で引っ張りだこで戦地でスイス傭兵同士が激突するということも頻繁にありました。
スイス傭兵は郷土の地域別編成が基本でしたが、親兄弟が敵味方にわかれることもあったことでしょう。

こうして傭兵が戦場の主役となっていましたが、それと同時に騎兵も変革の時代を迎えていました。
銃によって無効化された装甲騎士の装備は格段に軽装となり全身甲冑はヘルメットと胸甲くらいになりました。
装備が軽装になれば、コストや維持費も安くなり、それなりの兵数をそろえることができるようになり
再び古代世界のように歩兵部隊に対して突撃をかけることができるようになりました。
武器は投槍だけではなく、長槍、サーベル、短銃などが用いられ、さまざまな騎兵が各国で運用されいきます。
基本的には、突撃を行う重騎兵と威力偵察などを行う軽騎兵に分類されることになります。
さすがに小さいときから乗馬訓練を必要とする騎兵は傭兵で賄うことはできなかったので
大半は騎士や貴族の師弟がその任を負っていましたが、かつての特権階級的存在ではなくなっていました。

会戦に参加する兵数も再び古代世界同様、万単位になったことで、形式的な騎士の戦闘ではなく
戦略や戦術が重要視されてくることになり、陣形などいろいろと研究されるようになるのはこの頃からです。
プロイセンのフリードリヒ大王は斜行戦術を導入して、2倍の兵数の敵に大勝したりもしました。
傭兵主体の歩兵を規律正しく戦場で動かす努力は並大抵のものではなかったようで
逃げようとする兵士は容赦なく射殺することで規律を維持していました。

ということで、近世は一言で言えば、銃と傭兵の戦争ということになります。
日本でも火縄銃が伝来し、これを織田信長が世界に先駆けて本格的に実戦投入したことで
実に世界シェアの半分以上(説によって6~8割)という膨大な銃を保有している銃大国でした。

異世界ファンタジーでは世界観が主に中世の皮をかぶった近世であることがほとんどなので
銃はあまり登場させず、これを弓矢に換えて描くことが多いようです。
あるいは銃の代わりに魔法という場合も多々あります。
少女向けでは読者の興味が薄いので戦争シーン自体が少ないのですが、
こうした基本を知っておくだけでも、かなり作品の幅が拡がると思いますよ。

次回は世界初の国民軍が組織されたナポレオンの時代の戦争について書いていきます。

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