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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第1回日昌晶掌篇文学賞 11月期選考結果発表

少し遅くなってしまいましたが、11月期の結果発表です。
今回は先月よりも、少し増えて39作品のエントリーでした。

【金賞(11月期月間賞)】(副賞:780円ギフト券)
『空のあなた』 あかさたな

実は11月期はこれはというようなアイデアあふれる作品がなかったので
ふだんは目立ちにくい、しんみりとした読ませる作品が脚光を浴びての受賞となりました。
奇をてらうことなく、ありふれた題材ではありますが、800字以内の制限にもかかわらず
情感豊かによくまとまっていることをもっとも評価した作品です。
よくあるネタだだし簡単に書けてしまいそうですが、もっとも表現しにくいタイプの作品なんですね。
余韻の残し方もうまく決まっていて、読ませる作品となっていました。

<受賞コメント>
コメントがもらえしだい、後ほど掲載します。


【銀賞】
『金曜日限定の物語所』 玲レイ

審査している最中、今回は銀賞は該当作なしかなと思っていたのですが
どうにか銀賞として評価し得る作品がありました。
この作品は母親の語るファンタジーのお話と作品全体を包むファンタジーの二重構造が
おもしろみを醸しだしていて、なかなか味わいある作品となっています。
一筋縄ではいかないアットホームな雰囲気も評価したいと思います。


【佳作】
『地雷処理』ふっとん屋
『ミルク』雷鳥
『トシだよトシ』金色のミヤ
『あたしは知らない。』 Roth
『扉』ゼミ長
『星に願いを』ミカ
『青いねずみ』一重
『カモミール』C-hris
『僕が狂っているのか、世界が狂っているのか』シーモン
『天使』雷都
(以上10作品、投稿順)

『地雷処理』はネタはいいのですが、作者が照れてしまってハジけきれなかったのが惜しい作品でした。
『ミルク』はトリックとほのぼの感がいい味を出していました。
『トシだよトシ』はコント的なコメディとしてよく書けていましたね。
『あたしは知らない。』は、シュールさがいいのですが、ちょっと結末が表面的に上滑りしてしまっているので
もう少しダッチワイフにリアルな女性の感情を与えるとよかったかと思います。
『扉』はネタは面白いのですが、ややありふれた展開ではあるので、
もう少し見せ方や構成に工夫ができていれば更に上にいけたかもしれません。
『星に願いを』はすっと読めてしまうのですが、もうひとひねり作者ならではの部分がほしいところでした。
『青いねずみ』は雰囲気はいいのですが、もっと読者にわかりやすく書けていればもっとよかったでしょう。
『カモミール』も同じですね。雰囲気はいいのですが、主人公の心情をもっと読者にわかるように書かれているともっと評価されてもいいと思うくらいの出来になるかと思います。
『僕が狂っているのか、世界が狂っているのか』は、ありふれたネタですが、そつなくまとまっていました。
このつぎはもっと作者のオリジナリティある作品を期待しています。
『天使』はこのブログで超短編小説を紹介した関係で今回かなりエントリーがあり、
そのなかでもイメージがもっともふくらむ作品だったので佳作としてみました。


《総評》
11月は作品数は増えたのですが、これはというような際立って目立つ作品がなかったので
12月はぜひ思わず瞠目してしまうような作品をお待ちしています。
それと前回、季節はずれのバレンタインネタはやめてとお願いしたところ、それはなくなったのですが
季節ネタの作品はほとんどなくて、変わりにバレンタインじゃないけど告白ネタが散見されました。
恋愛ネタ、告白ネタは結構なんですが、そのまんまストレートに書かれてしまっても
競争率も高いし、見る目も厳しくなっていますので、もっと工夫した演出をお願いします。
ありふれたテーマやネタでも見る角度を少し変えただけでも作品の印象はがらりと変わるものです。
せっかくの掌篇小説なので、もっといろいろなことに挑戦した小説をお待ちしています。
チャレンジとしては、数行の超短編小説がありましたが、非常におもしろい傾向だと思います。
かなり難易度が高いので、挑戦しがいがあるかと思いますので、引き続き頑張ってください。
それでは折り返し地点となる12月期もよろしくお願いします。


<受賞作品全文掲載>
空のあなた あかさたな著

「ご臨終です」
 医者からの無慈悲な宣言が病室に響いた。
 伯母は、わたしとわたしの両親、それに伯母の友人たちが見守る中、静かに亡くなった。
 伯母の死に顔を眺めて、誰かがポツリとつぶやいた。
「ねえ見て。微笑(わら)ってる……」

 伯母は卵巣がんだった。気がついたときにはもう手遅れで、卵巣から腹膜へ転移して全身を蝕んでいた。伯母自身も長くないことを悟っていたのか、病院では緩和治療だけしか受けなかった。
 葬儀は故人の遺言を受けて父が喪主となり、ごく小さくささやかに行われた。父は喪主としての務めを粛々と果たしていたが、その背中はいいつもより随分と小さく見えた。

 伯母は優しい人だった。料理も上手で家庭に入ればさぞいいお嫁さん、いい母親になったに違いないと周囲から言われていた。
 でも伯母は生涯独身だった。旦那さんも子供もいない。
もともと伯母には婚約者がいたという。しかし式が迫ったある日、婚約者は事故で帰らぬ人となってしまった。事故から数年経ったあと、周囲の人たちは伯母に他の人との結婚を勧めたけれど、彼女は決して「うん」とは言わなかった。
 わたしがまだ幼く、伯母が遊び相手でお守をしてもらっていた頃、どうして結婚しないのか聞いてみたことがある。今考えればその問いはぶしつけで、遠慮のない、子供ゆえの残酷な質問だとは思う。でも伯母は機嫌を損ねるわけでもなく、いつものように優しい顔で、それでいながらはにかみながら答えてくれた。
「どうしても、あの人と結婚したかったんだよね……」
「あのひとってぇ?」
「伯母ちゃんの、好きな人」
「だぁれぇ?」
「ちょっと遠くに行ってて、会えない人……。いつ、会えるかしらね……」
 あのときの伯母は空遠くを眺めて、目を細めて微笑んでいた。

 ――今のわたしのように。

「……会いたかったあの人に、会えていますか……?」
 火葬場の煙突から立ち上る煙は、色素の薄い青空に溶けて消えていった。



金曜日限定の物語所 玲レイ著

 僕の母さんは、酔うと夢物語しか口にしなくなる。
「お母さんは異世界にトリップしたの。そこでお父さんと出会って、今ではおしどり夫婦よ」
 三日に一度は大喧嘩をするくせに、おしどり夫婦と自称するのは如何なものか。それ以前にお酒に弱いのだから手を出さないで欲しいと常々忠告しているのに、彼女は金曜日になるとそれを無視する。
 若い頃の母さんは作家志望だったらしい。酔うと昔の血が騒ぐのだろう。母さんの物語には「異世界」「魔法」「世界を救う」という言葉が度々登場する。ありふれた単語に「だから作家になれなかったんだな」と冷めた目で母親を見ていた。
「お父さんは魔物と闘ったの?」
 妹が興味津々で訊ねると、母さんは「そうよ、お父さんは武術の達人だったんだから」と胸を張った。父さんを異世界のキャラクターに仕立て上げるのはどうかと思う。
 母さんにお冷を用意していると、玄関から音がした。扉が開くと同時に「ただいま」という声が届く。
「母さんはまた呑んだくれになってるのか」
「今日は父さんがモンスターハンターになってるよ」
「ああ、その話か」
 否定しない辺り、父さんも浪漫主義者なのかもしれない。
 その後、母さんは夫にずるずると引きずられ寝室へ姿を消した。
「ねえ、その内離婚しないよね?」
 心配になって聞くと、父さんは「しないよ」と笑う。
「母さんには何度も救われたからな」
「魔女だったの?」
 皮肉たっぷりに返す。父さんは「そういう意味じゃない」と苦笑した。
「父さんの親しい人が次々と死んだ時期があってね。その時に随分と力になってくれた」
「母さんが?」
「そうだよ。母さんは強い人なんだ。父さんよりずっと」

 翌日。母さんは「嘘だよ嘘」と昨日の発言を必死に撤回した。
 僕が「本当は異世界に行ったんじゃないの?」と冗談を言うと「そんな訳ないでしょ!」と何故か酷く焦っていた。

 そして、次の金曜日もファンタジックな物語は語られるのだ。

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