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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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世界観設定を分析してみよう

なんとなく足を突っ込んでしまったハードな趣味であるアナログゲームのウォーハンマーなのですが
ウォーゲームとして誕生後、世界観の人気からテーブルトークPRGやカードゲームになったり
なんとアメリカではエルフやゴブリンがトゲトゲな防具を身につけてアメフトをやってしまうなんて
色物系のコンピューターゲームまで発売されているくらいでして、その情報量も膨大なんですね。
今回は、これを作品を創作する際の世界観設定を考えるときの教材に使いつつ
ウォーハンマーの世界観や歴史についても同時に紹介してしまうというものです。

では、さっそくウォーハンマーの世界であるオールド・ワールドの歴史を紹介してみましょうか。

太古、宇宙の彼方から飛来した”旧き者”は、その惑星に移住してきた。彼らの目的は不明だったが、彼らは原住生物だったドラゴンと交流しつつ惑星改造を行った。彼らは労働力としてスラン(両生類)とリザードマン(爬虫類)を創った。さらに魔法に秀でたエルフ、次いで技術得力に秀でたドワーフも創るがどちらも堕落しやすいという欠点があった。また、いつしか宇宙船に紛れていたのかオークの胞子が惑星にもたらされ、歓迎されざる外来種族グリーンスキンも地上にはびこった。そして未完成の種族であった人間が創造されて地上に現れはじめたのは、こんなときだった。

なんらかの原因により旧き者の”星の門”が崩落したことで惑星は渾沌(ケイオス)に覆い尽くされ、半獣半人のビーストマンやネズミ人間のスケイブンが現れた。この大崩落を期に旧き者は惑星から忽然と消えてしまい、北極から渾沌に仕えるディーモンの大軍が攻めてきた。この侵攻を多大な犠牲を払って防いだのがエルフだった。このとき人間は、まだ原始的な生活を送っていた。

ディーモンの侵攻を退けたエルフはドワーフとの交流を深めていったが、王位継承を巡る争いが生じ、追放された側はダークエルフになる。ダークエルフの陰謀によりエルフとドワーフの間では数百年におよぶ髭戦争(復讐戦争)が勃発した。この戦争でエルフは大陸から撤退して本拠地の群島に閉じこもり黄昏の時代を迎えることになる。エルフとの戦争に辛勝したドワーフもまた、後の天変地異による混乱に乗じたゴブリンやスケイブンの侵攻によってその領地の大半を失って失ってしまった。こうして互いに疲弊したことで人間やオークなど他勢力の伸展を許してしまうことになった。

その後、人間で最も勢力を拡大したのは南方の国家であった。人間は死を克服すべくダークエルフの協力で不死の体を手に入れた。吸血鬼の誕生だ。吸血鬼によって甦った死者の軍勢と人間とのあいだに戦争となるも、吸血鬼と同盟関係だったスケイブンの裏切りで吸血鬼軍は敗走した。さらに不完全な姿(骸骨)で甦ってしまったかつての偉大なる王が死者の軍勢をまとめあげて吸血鬼に復讐を誓うのだった。

北方では人間国家である帝国(エンパイア)が勃興し、常に外敵と戦いながらも繁栄を極めていった。ところが時代が下ると内戦が起きるようになり、皇帝の座を望んだ有力諸侯が吸血鬼だったことから不死者との戦争も起きた。最大の戦役は北の辺境で渾沌に魅入られた人間たちの軍勢との渾沌大戦である。人間はドワーフとエルフの参戦により、どうにか渾沌の軍団を退けることに成功したのだった。

しかし渾沌が消滅したわけではない。しかも旧き者から継承した強大な魔法や技術のほとんど失われてしまった。今もって世界を覆い尽くしているため渾沌の勢力との戦いは今日もどこかで起きている。


どうだろうか? これはなかなかに興味深いごった煮的な世界観設定なのがわかりましたか?
それを出来るかぎり解説していきたいと思います。

まずウォーハンマーの世界観は純然たる「異世界ファンタジー」です。
しかし、冒頭の設定を読んでもらえればわかるとおり、たぶんにSF設定が織りこまれているんですね。
「旧(ふる)き者」(old ones)なんて単語からして、知っている人はニヤリとするでしょう。
H.P.ラヴクラフトの想像した「クトゥルー神話」の影響が色濃いですよね。
クトゥルー神話は太古の昔に宇宙の彼方から地球に飛来した邪神の恐怖を描いたコズミックホラーです。
興味を持った方は、各自で調べて欲しいのですが、スランやリザードマンというのは
どこか邪神クトゥルーに仕える深き者ども(deep ones)のイメージとも重なったりします。

特筆すべきSF設定にオークやゴブリンが胞子による拡散で単色生殖する宇宙生物という設定があります。
これらは後に展開した4万年後の世界を舞台とするウォーハンマー40000の設定との摺り合わせによる
後付設定の産物でしょうがファンタジーなのに、こうした宇宙的な設定というのはなかなか斬新ですね。
星の門とその事故による惑星の影響なんて設定も『カウボーイビバップ』では中心的な世界観でしたよね。

他にもSF設定については、いろいろと影響が見られるのですが、他のことも見ていきましょうか。
元々が種族間の戦争ゲームなので、種族間の因縁というものが非常によく織りこまれていて
なかなか一筋縄ではいかない複雑で因縁めいた対立関係や友好関係をあつかっています。
ハイエルフとダークエルフの分裂にドワーフとの対立、そして栄華を誇っていたはずの2種族が
どうして凋落してしまったのかという歴史は今回ざっと書いただけなのですが、よく読むとおもしろいですよ。

15を超える種族の対立関係をそれぞれ絡ませて、複雑な闘争史を繰り広げているわけですが
このオールド・ワールドという世界には一本の軸が通っているので、読み手はあまり混乱しないんですね。
それは何かというと、この世界を最もよく象徴するものとして存在する渾沌(ケイオス)の存在です。
このウォーハンマーの世界は、ひと言「渾沌」だと言いきれるくらい世界観の軸になってるんですね。

この渾沌という軸があるからこそ、渾沌にくみした邪悪な勢力と渾沌を退けようとする正統な勢力とに
簡単に善悪ふたつの勢力にわけてしまうことができるのです。
だから覚えきれないほどの種族にどんな因縁や歴史があったとしても、わけがわからなくならないんですね。
なんだかんだいってファンタジーや時代劇といったものは勧善懲悪敵に善悪がはっきりしたほうが
読者がまったく知りようもない異世界の話を理解しやすくなるので、読んでいて安心なのです。
その先の話しとして悪のように見えて、実は悪とも限らない。逆に善に見えて善ではないみたいな設定を
付加するのもいいのですが、まずは善悪を明確にはっきりさせた後で展開すべきものです。
最初から善とも悪ともつかない両陣営が戦うなんていう設定はミリタリーマニアといった玄人好みです。

以上だけを分析してみても、世界観設定に必要な要素はきっちりと入っています。
ウォーハンマーの世界観にはクトゥルー神話を彷彿とさせるようなSF設定が織りこまれることで
他のファンタジー作品とは一線を画すだけのオリジナリティが確保されています。
さらに世界観を象徴するような「渾沌」という存在を軸を設定してあることで
物語の構造も善悪が明確にわけられるので、読者も未知の世界を理解しやすくなっている。
さらに因縁などによる対立関係が複雑にからみあうことで、各種族のエピソードが豊富に用意できる
仕掛が用意されているというかたちになっていて、なかなかよく出来ていると言わざるをえません。

さて、あなたの作品の世界観設定では、ウォーハンマーに見られるくらいの配慮はなされていますか?

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