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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第1回日昌晶掌篇文学賞 2月期選考結果発表

【金賞(2月期月間賞)】(副賞:660円ギフト券)
『四分間の幸せ』 チェシャ猫 

謎解きのような作品です。
情けない話ですが、私は謎を理解するまで二度読みかえさなければいけませんでした。
とはいえ、日常に起こりうるような機微がとてもよく表現されていて
なんでもないことがちょっとしたミステリー仕立てになっているところを評価させてもらいました。


【銀賞】
『円周率な心』 雷都

バレンタインのネタですね。選考発表は3月なので、
できれば1月に投稿してもらえるとタイムリーなのですが、それはいいでしょう。
これまでのバレンタインデートはちょっとひと味ちがうところと
円周率との関連性がいい感じにまとまっていたので、今回の銀賞となりました。
これにヒネリがあると金賞でもおかしくなかったと思います。


【佳作上席】
『美咲』 しょう
『シュガー』 キ緑
『無償の愛、有償の僕』 ミカ
『ちーちゃんの階段』 ショウ
『消えた〝アレ〟』 おっとー

【佳作】
『死にたがりと、生きたがり』 夜桜三〇八
『かたおもい』 りっか
『最強は誰?』 ドリーマー☆ユウ
『兄と呼べた日』 4E
『堕落』 しんぢ
『卒業』 雷都
『舟の上で』 ショウ
『彼我』 蘭丸
(以上13作品、投稿順)

今回は銀賞になってもおかしくない作品が多かったので、特別に佳作は佳作でも上席を用意しました。
あと一工夫で金賞銀賞も現実的だっただけに、次回はもっと構成や演出を工夫してください。
『美咲』はありきたりの叙述トリックですが、オチもあって、よく書けていました。
『シュガー』は独特の文体で雰囲気がよくでている作品です。
ただ雰囲気で読ませる作品なので、より一般的な読者の共感が得られるような内容がよかったかもしれません。
『無償の愛、有償の僕』はほのぼのとした犬視点ながらホラーなところが好印象の作品でした。
『ちーちゃんの階段』は、ほほえましい出来事が素直に書けていて好感が持てました。
ただしかなり昔の歌に元ネタを求めているので、最近の若い人はわかるんでしょうか?
『消えた〝アレ〟』はいいですね。上席ではいちばん銀賞に近い作品でした。
物書きの本質をよくとらえていたと思います。一行小説としては会心の作でしょう。

これ以外の佳作8作品については、金賞、銀賞または上席まで届かなかった理由はひとつなんですね。
なんとなくネタもいいし、雰囲気もよさそうなんですが、作者の個性があまり感じられませんでした。
どうしても800字以内でまとめようとして、いい子になってしまっているんですね。
もっと悪い子になって挑戦的な個性を剥き出しにした表現やストーリーをめざしてください。


《総評》
12月期、1月期とちょっと酷評してしまったのですが、ハッパをかけた甲斐があって
2月期の作品はほとんどの作品が総合的に高いレベルだったので選考に苦労しました。
中でも2月期の金賞はより掌篇小説やショートショートの王道に近い作品が選ばれたかと思います。
これ以外にも意欲的な作品をぜひ読んでみたいので、どんどん挑戦してください。
挑戦といっても技巧的な方向に走らないで、ネタの拾い方や視点で差別化をはかってほしいと思っています。
3月期の選考も私が悩み抜くくらい、おもしろい作品をお待ちしています!

<受賞作品全文掲載>
四分間の幸せ チェシャ猫

 ある所に、〝男〟がいました。
 その男は、いつも通勤するときに環状線を使います。
 その男の使う駅は、始発が多いために、いつも座ることができます。
 その男は、今日も座りながら通勤しました。
 その男は、ただのしがないサラリーマン、彼女もいないし、最近は趣味である写真も撮れていません。
 しかしその男の心は、充実していました。
 何故なら、その男は、恋をしているからです。
 その男が、降りる駅の一つ前に乗ってくる女性が、恋心を抱いている人です。
 その男は、その女性が、愛おしくてたまりません。
 その男が、どの席に座っていても、その女性は、その男の前に立ちます。
 その男は、最初気づきませんでしたが、その事に気づけばいつの間にか好きになっていました。
 その男は、その女性のどこか儚げな表情と、朝日の差し込む風景を眺める姿を見るのが好きでした。
 その男は、次の駅に着くまでの四分間の幸せをかみしめます。
 そしてその男の、目的の駅に着くとその男は席を立ち、その女性の横を通り過ぎ電車を降ります。
 その男は、会社に行くまでの時間、その女性に何と声をかけようか、と考えながらまた、幸せな気分に浸ります。
 この男が、声を掛けない限り幸せは続きます。
 どう言うことかって? 
 それは、少し考えればわかりますよ。


円周率な心 雷都著

 バレンタインデー。僕は生まれてはじめて、女の子からハート型のチョコをもらった。
「ホワイトデーには、返事ちょうだいね」
 幼馴染の遠藤がいった。
 しかし、これには困った。
 僕には他に好きな子がいたのだ。
 まさかのモテ期到来で、本命の和田さんからも、チョコをもらえるかもしれない。そんな期待もあったが、収穫はひとつだけだった。
 それどころか。なんと和田さんは、他の男にチョコをあげたというのだ。
 イケメンの大島に。
 やっぱり顔がすべてなのかと、ヤケになっていたら。帰りがけ、和田さんに話しかけられた。
「な、なんだよ?」
 自分でも、声が尖っているのがわかった。そんな器の小ささに涙が出そうになった。
 彼女も、僕の様子に気づいたのだろう。
「なんでもないわ」
 そういって、去った。


 家に帰ると、テレビでタレントが謎かけをしていた。
「バレンタインとかけまして、円周率と解く。その心は……、3.14で答えが出ます!」
 スタジオの反応は好評だった。
 でも。僕は思う。
『その心は……3.14では割り切れない』
 おもしろくないけど、数学的には、僕の方が正しい。


 それぞれの気持ちが交錯したまま、ホワイトデーを迎えた。
「ねえ、早く」
 遠藤が、お返しを催促してくる。
「ちょ、ちょっと待って」
 僕の気持ちは煮え切らなかった。
 そのとき、僕たちの隣を、がっかりした表情の大島が通りすがった。
「なんてことだ! 和田さんは、友達の代理だったなんて。俺はてっきり……」
 独り言をわめきながら、彼は過ぎ去っていく。どうやら、和田さんがあげたチョコは、本命ではなかったらしい。
 それを知った僕は、遠藤を振り返っていう。
「ごめん。僕たちはずっと、恋人未満でいよう」
「は、はあ?」
 僕は和田さんのことが諦められなかった。
 まだ、チャンスはある。
 気がつくと、僕は彼女を探して走りだしていた。
 背後から遠藤の罵声が聞こえた。

 やっぱりな、と僕は思う。バレンタインの答えは、3.14では割り切れない。

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