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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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つげ義春を再読する

サブカルに興味のない若い読者のなかには、つげ義春を知らない人も多いかもしれません。
なにしろ『ジャンプ』のようなメインストリームではない『ガロ』を中心に活躍した漫画家で
しかも寡作なうえに短編がほとんど、しかも1980年代後半から新作を発表していないわけですから。

しかし代表作のひとつである『ねじ式』あるいはこの作品のパロディ作品を
どこかで目にしたことのある人はきっと多いんじゃないでしょうか。
『ねじ式』の冒頭と、同じくつげ作品の『李さん一家』のオチをパロディにした
アニメやマンガは私が知るだけでも十はあると思われます。実際はそれ以上でしょう。
ほかにも竹中直人の監督・主演の『無能の人』や浅野忠信主演の『ねじ式』と
1990年代に映画化されていたりと根強いファンがいたりするんですね。
それだけに当時、手塚治虫から発展してきた漫画の常識を打ち破る表現だったわけです。
実際には短編『沼』あたりから注目されてはいたわけですが、一気に知名度をあげた作品といえば
作者の夢をモチーフにして描かれたシュールな印象の『ねじ式』だったんですね。

そんなつげ義春作品を全集で最初期から通して読んでみました。
当初は貸本漫画家だったのですが、その画風が実に多彩というか、安定していないんですね。
当時の人気漫画家の絵柄をマネたと思わせる絵柄で、しかもキャラによってマネる作家がちがうものですから
ちょっとアンバランスだったり、パースがおかしかったりと、けっして巧いわけではありません。
その後、松山健一と小雪が共演した映画でも有名な『カムイ伝』の白土三平、
そして『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみの水木しげるのアシスタントを経ることで
貸本業者の要望で画風や作風も白土そっくりな忍者ものを描いてみたりしつつ
後期の作品になると、水木しげるの画風が色濃く影響しているんですね。
特に水木独特のキャラよりも風景を精緻に描写する画風がよく出ています。

肝心のストーリーはというと、これがまた奇妙で、特に精神を病んでいた当時の作品
自身の夢を漫画化した『必殺するめ固め』や『ヨシボーの犯罪』などは意味不明の極致でしょうね。
雑誌の写真に写っている水着女性をピンセットでつまみあげ、頭からもりもり食べてしまい
犯行に使われたピンセットを処分しようと奔走する主人公なんて、どう考えてもおかしいです。

そんなつげ義春作品として、よく話題にのぼるのは、やっぱり『ねじ式』で
つぎに『紅い花』『ゲンセンカン主人』『李さん一家』とつづく感じでしょうか。
しかし全集を通して読むと、つげ義春作品の核となるのは「旅もの」シリーズなんですね。
つげ自身が実際に旅(あるいは失踪)してきた経験を脚色してまとめた短編漫画であり
ほとんどは商人宿と呼ばれる現代のビジネスホテルの前身みたいな安宿に宿泊する話なのですが
たいしたストーリーがあるわけでもないのに冷静な視線をそそぎながら情感を見事に描ききっています。
おもしろいかといえば腹をかかえて笑うようなおもしろさではなく、いわゆる味のあるおもしろさです。

特に私が気に入ったのは『もっきり屋の少女』という一編で、世情のわりきれなさを痛切に
そしてユーモラスに描ききった作品だったりします。そしてつげならではのエロスも多分に。
実際にどんな作品化というのは、実に文章にしにくいのでここでは書きません。
文章にできないからこそ、漫画で表現しえたというほかないでしょうね。
ちなみに「もっきり屋」というのは、今でいう「赤チョウチン」や「立ち飲み屋」の前身で
酒をコップになみなみと「盛りきる」ことから、もっきり屋と呼ばれていたそうです。
ちなみにYouTubeで検索すると浅野忠信主演の映画『ねじ式』(4話オムニバス)の一編として
この作品を忠実に映像化したものが視聴できますので興味ある方はどうぞ。

おそらくライトノベルを書くうえでは、ほとんど役に立たないでしょう。
でも、こういう表現方法があるというのを知っておくのは損ではないし
一読しておけば、あのとき読んだマンガのあの意味不明なギャグの元ネタは
これだったのかとわかってしまったりするのも、またおもしろいかと思いますよ。




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