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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第1回日昌晶掌篇文学賞 6月期選考結果発表

遅くなってしまいましたが、ついに第1回日昌晶掌篇文学賞の最終月となりました。
今回までの作品で過去1年間に選ばれた金賞作品の中から大賞が選ばれます。
大賞発表は、もう少し後になるかと思いますが、第2回もはじまっていますので、
引き続き掌篇小説をよろしくお願いします。

【金賞(6月期月間賞)】 (副賞:500円ギフト券)
『缶けり』 ハヤシ

6月になって最初の投稿作品が金賞受賞となりました。これははじめてかもしれませんね。
小説の特徴を活かしたオチがよくハマった作品でした。
一人称の話者である「俺」を通してモテない男の子に感情移入をさせるのと同時に
読者が「俺」に共感するように仕向けた技法などの使い方が巧みでしたね。


【銀賞】

『学食史 ~第二次大戦編』 日暮レ

こちらもなんともバカバカしい内容をもっともらしい歴史書風に描いた作品です。
短いながらよくまとまっていたので、今回は金賞にさせてもらいました。
ただ一点惜しかったのは、ネタの使い方にひねりがなかったところでしょうか。
言葉の使い方や命名法などにもう一工夫されると、もっとおもしろい作品になるでしょう。
ライトノベルでは特に上記のネタが重視されますので、よくよく吟味してください。


【佳作】
『次元脱出』 雷都
『勇者譚』 金色のミヤ
『水溜り、のちに』 鳩
『時を知らせない時計』 ポニィ。
『正しい××教育』 ミカ
『正義の下に~私説 さるかに合戦~』  4E
(以上6作品、投稿順)

『次元脱出』は、なぜか先月あたりから見られるようになってきたメタ小説です。
筒井康隆の『朝のガスパール』みたいな展開でおもしろいのですが、惜しむらくは内輪ネタになってしまうので
何も知らない人が読んでもおもしろみが全部伝わらないということで佳作とさせてもらいました。

『勇者譚』は、ファンタジー風味な芥川龍之介の『薮の中』的な作品で着想はよかったのですが
それぞれのインタビュー内容でクロスしたり矛盾したりするところの扱いが弱かったのが惜しかったので
もう一工夫してもらえると、おもしろさがより引き立ったかと思います。

『水溜り、のちに』は、ありていに言えばよくある話ですが、短い文章の中で
よくまとまっていて情感も出ているので佳作とさせてもらいました。
今後はオリジナリティも含めてストーリーを考えてもらえると、より高評価になるでしょう。

『時を知らせない時計』は、なぜかエドガー・アラン・ポーのような叙情を感じさせる
ちょっとゴシックな雰囲気を評価させてもらいました。動と静の関係性への言及もいいですね。

『正しい××教育』
オチの展開が、あまり見ないタイプでおもしろかったですね。
全体としてほのぼのとした雰囲気ながらも内容はシビアなところもいい感じでした。
掌篇小説のアイデアとして非常にいいかたちでネタが昇華できていましたね。

『正義の下に~私説 さるかに合戦~』は、太宰治の『御伽草子』を彷彿とさせる
昔話を解体して、現代風な語り口でつづってゆく作品で、おもしろかったです。
どうしても字数制限のため語りきれないところが多いのですが、
少し表面的になってしまっていたので、もっと内面的に突っこんで書くともっとよくなったでしょう。


《総評》
いやはやようやく1年分の全作品の選考を終えることができました。
これも投稿してくれるみなさんのご協力の賜です。
最初の月と今月の作品を比べると、手慣れてきたなという印象があり
どれも掌篇小説としての体裁が整ってきているのを実感させられます。
一時的には、それが小さくまとまってしまい、停滞してきた時期もありますが
最近は体裁をわきまえつつも、メタ小説など新境地を開拓しようという気概も感じされて
選者として非常にうれしいかぎりです。
第2回は私さえも思いもおよばない新しいタイプの掌篇小説を期待しています!


『缶けり』 ハヤシ

 散歩をしていると、右手に幼稚園が見えた。園児たちの楽しそうな声が聞こえてくる。どうやら先生も交えて庭で缶けりをやっているようだった。俺は懐かしくなり足を止めた。
 園の庭はバスケットコート半分ほどの広さがあったが、隠れるスペースはそんなにないように思われた。先生は「いーち、にーい、さーん」とゆっくりカウントをとり、園児たちはキャーキャー騒ぎながら隠れる場所を探している。

 ふと庭の隅に目をやると小さな物置小屋があった。小屋の裏には既に男の子が一人隠れており、遅れて一人の女の子がやってきた。
「わたしもここに隠れさせて?」と女の子。
「ここはオレが先に見つけたからダメだよー」と意地悪をする男の子。
 そんなやり取りを微笑ましく見ていると、近くの木に隠れていた別の男の子が「よかったらここ空いてるからおいでよ」と女の子に声を掛けてきた。
「わーありがとう」
 女の子はすぐに誘ってくれた男の子と一緒に木の裏に隠れ、身を寄せ合っていた。
「あ……」
 小屋のほうの男の子は、まさか展開に呆然と立ち尽くしていた。
 多分、二人の男の子はその女の子の事が好きなんだろう。
 生まれてから此方、彼女のいない俺はモテないやつの味方だ! 今はつい意地悪して失敗したけど、お前なら彼女のハートを捕まえる事ができる! 頑張れ! と心の中で小屋の男の子を応援した。
 しかし小屋の男の子は彼女のハートを捕まえるどころか、鬼役の先生に見つかってしまい、逆に捕まってしまった。
 とことんツイてないやつだな……。俺はなぜか必要以上に感情移入をしてしまい、小屋の男の子と自分を重ねて見ていた。
 次は頑張るんだぞ。もう一度心の中でエールを送り、俺が歩きだそうとすると、目の前に同じ服を着た大柄の男性が二人立っていた。

「君、さっきから園の中を覗いて何をやっているのかな? ちょっと近くの交番まで来てもらえるかな?」

 そうして、俺も、捕まった。



『学食史 ~第二次大戦編』 日暮レ

「メニューのうどんとそばをどちらかに一元化する」

 全ては学生食堂の主、オバチャンの一言から始まった。
 不景気、少子化、投機による物価高騰、もしくはただ面倒だったからであろうか理由こそ定かでないが、これにより学内は混乱を呈し血で血を……否、出汁で出汁を洗う動乱の世を迎えるに到ったそのことに変わりはない。
 これぞ後世語り継がれる戦いの引き金、『学食事変』である。


 始めは極々小規模の抗争から始まった。
 それまで冷麺状態を保ってきた両派閥の対立は一気に表麺化、これによって学内のいたるところで日常的に衝突が起こるようになると、抗争はやがてその規模を増して全麺戦争へと発展することとなる。
 当初こそ『二八』の名の示す通り八割方そば派の圧勝かと思われていたが、うどん派は持ち前のコシと粘り強さを生かしてじわじわと巻き返し、両者の力関係は徐々に拮抗していった。


 そうして二者の戦争が次第に長期化の兆しを見せ始めたころ、膠着する戦局を打開すべく進軍を開始したのは遠く伊達男の国よりやって来たスパゲティ、マカロニを中心とする強大なパスタ連合一派であった。
 これによりそばうどん両陣営から多数の離反者が出たことは言うに及ばず、また彼らに便乗する形で両陣営に従属させられていたチャンポン派、沖縄そば派、素麺派等の少数勢力が叛乱を起こし、戦争はかつてない大戦争へと突入した。
 これが世に言う『第二次大戦』である。


 ……戦争は六年続いた。
 スパイ、拷問、洗脳、大量破壊兵器……ありとあらゆる非人道的行為が横行する学内。
 熾烈な戦いの中で多くの同志が力尽き、志半ばに卒業していった。
 ――しかしながら、ここにきて戦争は最終的に決着が着かないまま沈静化の兆しを見せ始める。
 人々は皆、既に疲弊しきっていたのだ。
 やがて三者の間では停戦協定が結ばれ、純然たる多数決によって最後の審判を下すことが定められたのであった。






 投票の結果、ラーメンが学食を支配した。

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