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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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電子書籍のゆくえ

Amazon.comのやアップルのの発売で、国内でもにわかに話題にのぼり始めた電子書籍。
以前から電子書籍は存在していましたが、これから5年くらいで、その状況は大きく変わると考えています。
今回は紙媒体から電子媒体になることで変わる出版環境について作家視点で簡単にまとめてみます。

まず電子書籍には作家志望者にとってメリットがいろいろあります。

【1】今まで以上に誰でも簡単に”出版”が可能になります。

 商業出版、自費出版問わず、イラストや校正などの経費を抑えれば、
 限界までゼロ近くまで原価を抑えることができるようになるので
 ブログやSNSを書く延長線上での出版ができるようになります。

【2】印税率が8%から70%へと大増額になります。

 現在、ライトノベル新人作家が文庫本を出版するときの印税率は8~10%くらいですが
 今後、電子書籍に移行すると、Amazon.comが提示している印税率は70%です。
 単純計算で1冊あたり約9倍の利益率になるわけです。
 
【3】売り切れがない、絶版がない、返品がない

 電子書籍はデータなので初版部数など物理的な関係で売り切れる心配がなくなりますので
 買いたいと思う読者がいる限り、いつでも誰でも購入することができるようになります。
 また再販制度が関係なくなるので、本を返品されて大損することがなくなります。
 たとえ1冊も売れなくても初期経費だけがリスクとなるだけです。
 紙媒体なら即倒産ものですが、電子書籍ならどうにか堪えられるでしょう。

【4】ベストセラーは今以上の売れ行きとなる

 電子書籍は紙媒体よりも、かなり価格が抑えられることと、物理的に本棚などのスペースをとらない
 いつでもネットからクリックひとつで購入できるため、衝動買いや
 話題の作品はとりあえず買っておこうという人が増えてゆくことでしょう。
 買ったはいいけど積読(つんどく)のまま忘れ去られてしまうことも多いでしょう。
 これはHDDレコーダーに録画しまくったテレビ番組を結局は見ないで終わるのと似ています。
 そのためベストセラーは部数も大きく、高利益率もあって、作家の印税は超高額になるでしょう。

しかし、一方でデメリットもあります。

【1】誰でも出版できるため、無名作家は売れなくなる

 ただでさえ刊行点数の多いライトノベル業界にあって
 電子書籍で誰もが出版できるようになると、それこそ星の数ほどの作品がネット市場に出回ります。
 ですが作品クオリティは玉石混淆、しかも9割以上は素人の駄作ですから読者は損をしたくないため
 すでに有名な作家や定評のある作品シリーズだけを購入するようになっていきます。
 結果として無名の新人作家が育ちにくい環境になりやすいでしょう。

【2】作品の単価が下がり、部数がハケなくなる

 電子書籍では紙代、印刷代、流通コストといったものがなくなるので基本的に紙の本より安くなります。
 また刊行点数が増えることにより、1人勝ちする作品以外は軒並み、販売部数は激減するでしょう。
 Amazon.comなどのeコマースについてのマーケティングによく出てくる、あのロングテールです。
 そのため70%の印税率でもボロ儲けとはいかなくなります。
 紙媒体で単価600円で10000部、印税率8%とするなら作家の収入は48万円
 電子書籍だと単価200円で3000部、印税率70%なら収入は42万円となります。
 電子書籍の場合、売れ残りの返品や売切により販売機会がロスはないので有利ですが
 70%の印税からイラストや編集にかかる諸費用を支払わなくてはなりません。
 
【3】電子決済が普及しきれない

 クレジットカードやプリペイドカード、携帯通話料からの天引きなど一部では普及していますが
 まだまだ全体として考えると、ネットショッピングは普及しているとは言えません。
 そのため電子書籍の購入に抵抗を感じる人や年少者だったりと、電子決済をしない、できない層は
 今後も少なからずいることになるでしょう。そういう人たちに作品を売ることが難しくなります。 

【4】海賊版、違法コピーが容易

 現在の違法コピーのように本を1ページずつスキャニングしなくても
 データだけなら、あっという間にコピーできますし、プロテクトはイタチごっこになってしまうので
 おそらく効果的な防衛手段は今後も見出されないでしょう。
 基本的には、違法ダウンロードに要する”手間”と”時間”、倫理的な”後ろめたさ”を考えるなら
 正規品を購入したほうがよいと思えるだけの金額が作品の正当価格となってゆくでしょうから
 音楽業界と同じく比較的安価に収斂してゆくことになるでしょう。


以上が電子出版にまつわる代表的なメリットとデメリットになります。
将来的には、これらメリットをより伸ばし、デメリットを解決する方法を見つけた人(作家自身を含む)が
これから必然的に大きく変わってゆくことになる出版界で生き残り、成功することになるでしょう。

作家志望者もプロを目指すなら作品のことだけを考えるだけでなく
出版業界そのものの将来についても、たまには考えてみてくださいね。
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