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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第2回日昌晶掌篇文学賞 9月期選考結果発表

さあ、連続して9月期の発表となります。

【金賞(9月期月間賞)】

該当作なし

【銀賞】
『エルフ耳』 KAIN

ファンタジーによく登場してくるエルフをモチーフにしつつファンタジー要素のない青春の一コマというのは
なかなかおもしろい組み合わせかなと思いました。アーチェリーというのも微妙にかぶっていてよいですね。
ただ一点、金賞とまでは至らなかったのは、主人公が普通の子すぎてしまったことです。
エルフ耳にコンプレックスを持つ少女は、それだけで感じ方や考え方は自然と普通の子とはちがうでしょうし
作品として、主人公ならではの性格を前面にだすべきなんですね。
その点を改善してもらえればよりよいものになるでしょう。

【佳作】
『世界でいちばん長い物語』 雷都
『さけ』 ピロシキお兄さん
(以上2作品、投稿順)

『世界でいちばん長い物語』は、タイトルのほうが本文より長いというか、1文字だけの作品でした。
アイデア勝負ということで評価させてもらいました。

『さけ』は、情感がよく、まとまってもいました。
惜しむらくは、もう少し読者に親切に書いてもらうとよかったかと思います。
あとはかなり高等テクニックになりますが情景に心理描写を加えてくると、もっと味がでたでしょう。


《総評》
9月期は12作品の応募だったので、母数が少なかったためか、金賞はなしとなりました。
そのぶん佳作から漏れてしまう作品の傾向がよくわかってきたのですが、
叙情的なのはいいのですがストーリー性がほとんどなく抽象的な表現に終始してしまっているタイプと
もうひとつはオチがないというか、尻切れトンボでぷっつりと終わってしまっていて
最終的になにが言いたかったのか作者のメッセージ性が伝わってこないタイプの2つが多いですね。
この2つのタイプの作品に共通して言えることは、読者の立場に立って書かれていないということです。
どうしても作者の都合や気持ちだけで書いてしまって、ひとりよがりになってしまっているので
自分の作品を読んで読者がどう感じるか、おもしろく思ってもらえるかを考えて
読みかえしてみて、ぜひ推敲してみてください。それだけでも飛躍的によくなると思います。

《受賞作品全文掲載》
『エルフ耳』 KAIN

 アーチェリーの高校総体予選が始まる前。
 手首に巻いた真白なスカーフはそのままに、肩まである髪を私はポニーテールのように右手で纏めた。覗きこんだ鏡に、両耳が露わになった自分がいる。
 こうした方が集中力は高まる。だけど、この耳を人前では晒したくなかった。
 お伽話のエルフみたいに尖っている自分の耳が、私は大嫌いだった。
 似ているのは耳だけじゃない。色白の肌、色素の薄い茶色の瞳、その他全部。もちろん胸も、ない。
 うさ耳やねこ耳は持て囃される。だけどこの先、エルフ耳はないと思う。

「エル先輩、時間です」
 エルフに因むニックネーム――実はこれも嫌い――で私を呼ぶ後輩の声に慌てて髪を下し、私は弓を携えて試合会場へ向かった。あとひとつで総体への出場が決まる。

 会場に啓子先輩の姿を見つけて、私の胸は高鳴った。今年の春に卒業した、皆の憧れの先輩だ。約束どおり応援に来てくれたのだ。

 去年の夏。総体への出場は私のミスで逃してしまった。泣きじゃくる私を優しく慰めてくれたのは先輩だった。
 そして卒業式。先輩は自分の着ていたセーラー服の真白なスカーフを私にくれた。
 隅には「総体ぜったい出場」の刺繍。
「エルは耳のこと気にしてるけど、私はキュンとして可愛いと思うな」
 私の髪を撫でながら言ってくれた。
 ちょっとだけエルフでもいいかな、と思った瞬間だった。

 的の前に立つ。先輩のスカーフで髪を縛る。露わになった耳に、恥ずかしさで震えそうになる。けれどそれを乗り切るとどうなるか、私にはわかっていた。

 刺繍の下に並んだ、啓子のKとエルのLの二つの文字。
 先輩は髪を優しく撫でた後、歌うようにABC……と続けた。
「アルファベットだといつも隣同士でしょ? だから試合中はいつも――」

 ――先輩が隣にいてくれる、そんな気がした。
 だんだん集中力が高まっていく。何も聞こえなくなっていくエルフ耳。スカーフと同じに気持ちが真白に洗われてゆく。
 私は矢をつがえ、弓を引いた。

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