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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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第2回日昌晶掌篇文学賞 10月期選考結果発表

とりあえず月間賞の選考は、これで追いつきました。
あとは前回のグランプリですが、近日中に発表したいと思います。

【金賞(10月期月間賞)】
『幸福な人生』 KAIN

先月は銀賞だったKAINさんの作品が久しぶりに金賞となりました。
情感がよく描写できているし、作者のテーマ性がよく描けていたのを評価しました。
最近の投稿作にはシーンやネタだけを考えてしまっていて、
その内奥にあるテーマを感じられるものが少なくなってしまっているなかで
すっきりしたかたちで、よく書けていました。これからを期待させてくれますね。

【銀賞】
該当作なし


【佳作】
『バナナ総統』 文作
『純煉』 鳩
(以上2作品、投稿順)

『バナナ総統』は着想は面白かったですね。
惜しむらくはヒネリがないまま終わってしまってオチがない点です。
この手の笑える作品は落語と一緒でオチないとしまりがなくなってしまうので気をつけてください。

『純煉』は情感のある作品ではありますが、ただ一点、難点がありました。
原文では「不明」と書いてしまっていますが、この作品でもっとも重要なのは
「彼女はなぜ死に憑かれていたか」という主題になります。
ここを結末部分にでも明示して、すっきりさせてもらえると作品が引き締まります。


《総評》
ここのところ投稿作品数が少ないので、佳作が少なくなってきていますが
それとは別に作品の方向性がブレてしまっている作品を多く見かけるようになりました。
ネットのコピペをそのまま貼りつけた作品とかもありまして、それはそれで題材として使ってもらって
それに作者なりの表現なりオリジナリティを加えてもらえればいいのですが、そこまでいってないんですね。
もっとも気になるのは、作者として自分の作品を読んでもらったときに、
どう思ってほしいのかをよくよく考えて作品を考えてください。
自分の思いや考えが通じるかどうか、作品の良し悪しはそこにあります。


《受賞作品全文掲載》

『幸福な人生』 KAIN

 わずかばかりの弔問者を迎え、叔母の通夜はしめやかに行われた。
 戦後の混乱の中で生まれた叔母は、すでに他界した私の母と同様、苦労の多い人生を送っていた。若くして嫁いだ叔母は子を為さぬゆえ離縁させられ、以来ずっと一人だった。
 そんな叔母の最後を見送る場の寂しさに、私の胸はつまった。
「和江さんは賑やかなのが嫌いだったからね」
 そんな囁きが聞こえた。
 叔母は賑やかなのが嫌いなのではなく、人の多い場所が苦手なだけだった。

「人込みに飲まれ、そのまま消えちゃいそうだろ」
 以前、面倒をみたいと申し出た際の叔母の返事がそれだった。私は人の溢れる都会に暮らしていた。
 初めは「消える」という意味がよく分からなかった。
 しかし体調を崩し、いよいよという時になって、叔母はぽつぽつと語りだした。
「あんたのお祖母ちゃん、つまり私らのお母ちゃんは、私らが小さい時に男の人と――」
 秋祭り一番の盛り上がりをみせる「宵待ちの山車」が夜の街に繰り出され、通りに人が溢れた頃、人込みの中へ消えてゆき、
「お母ちゃんとはそれっきり……」
 叔母の声に悲しみはなく、どこまでも穏やかだった。そのことがかえって叔母の胸の内を想像させ、私は辛くなった。

 叔母は幸せだったのだろうか――。

 通夜を終え、ちょうど控え室へ行くときだった。斎場の入口に年老いた女性の姿が見えた。
 弔問者名簿に記帳を終えた女性は、祭壇の前へ進んだ。
 受付の者から、その女性が遠方より駆けつけてきたことを知った。
 女性が焼香をしている間、名簿を確認した私は思わずはっとなり女性を見つめた。
 焼香する女性の、小さな背中が震えている。
 名簿の、故人との関係を示す欄には「親友」と記されていた。
 書かれた文字が滲んでいるようにみえるのは、気のせいではないと思う。

 はたして、私には「親友」と呼べる友はいるのだろうか。
 黒い額縁の中の叔母は、穏やかに微笑んでいる。
 叔母にとっては存外、幸せな人生だったのかもしれない。


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