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UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

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アニメに見る敵役の変遷~アトムからエヴァまで

『鉄腕アトム』からはじまる日本アニメに登場してくる「敵役」を鳥瞰してみると
全体としてトレンドがあることがわかってくるんですね。

最初期の敵役というのはアニメ以外、神話や民話の時代からそうなのですが
基本的には単純な「悪者」「悪人」でした。
時代劇の悪代官や悪徳商人などが典型例でしょうか。
彼らは純粋に殺人や強盗、汚職など犯罪行為を犯す存在だったわけです。
日本アニメの悪役もまた最初期はマッドサイエンティストや数人の手下を抱える悪党が多かったんですね。
『マジンガーZ』のドクターヘルなんかは、この部類にあてはまるでしょう。

悪人も犯罪を犯すには単独犯では難しいので、自然の流れとして徒党を組むことになります。
それが上下関係や階級などがきっちりと確立した集団となれば「悪の組織」となります。
仮面ライダーのショッカーやサイボーグ009のブラックゴーストなどは
高度に組織化された世界的犯罪組織として登場してきます。

そして、その次に大きな大変革が訪れます。
それが今もって人気が根強い1978年放送の『機動戦士ガンダム』です。
この物語の敵はジオン公国です。そう、敵役はついに「国家」単位になるのです。
それ以前にも『宇宙戦艦ヤマト』の敵役はデスラー総統の支配するガミラス帝国ではありましたが
ガミラスとジオンでは決定的に異なる点があります。
というよりも味方サイドである国際連合と地球連邦のちがいですね。
それはヤマトの国際連合(地球防衛軍)はガミラスに一方的に侵略された側であり
ヤマトの目的はガミラス帝国打倒ではなく放射能に汚染された地球を守るためにコスモクリーナーを
イスカンダルまで取りにいくというという自衛・平和目的になっているわけですから
絶対的に正義であるのに対して、地球連邦はスペースコロニーに対して圧政を強いた側であり
これを正義というにはあまりにも無理のある設定になっているんですね。
つまりガンダム以降、国家間の戦争というどちらにも正義のないかたちを描くことで
それまでの単純でわかりやすい善と悪というかたちではないものが提示されたんですね。

ガンダム以降の80年代リアルロボットアニメでは、この流れをうけて善悪が曖昧な敵役が主流となります。
『太陽の牙ダグラム』では地球政府を敵役として植民地惑星の反政府ゲリラの物語でしたし
『装甲騎兵ボトムズ』になると、もう戦争の目的さえ忘れ去られるほど戦い続けている二勢力であり
しかも主人公は傭兵でありどちらの勢力にも共感することがないんですね。
しかし、こうした戦争を題材としたアニメはしだいに難解なストーリーになってしまったこと
子供たちの理解を超えて廃れていき、その反動で『魔神英雄伝ワタル』などシンプルな二頭身ロボットや
小学校がロボットに変形して小学生たちが戦う『絶対無敵ライジンオー』などが流行することになり
敵役は「悪人」や「悪の組織」に戻っていってしまうんですね。
それが90年代ロボットアニメの主流となっていきました。

そしてさらなる転換期として登場するのがOVA『トップをねらえ!』(1988)でした。
この物語の敵役は宇宙怪獣でした。これは非常に斬新かつ古典的でした。
従来のアニメの敵役は多かれ少なかれ人間だったのです。
たしかに設定では宇宙人だったり地底人だったり、アンドロイドだったりすることもありましたが
基本的には人間と同等の存在であり、人間と同じような思考を持ち、感情さえあったのです。
しかし宇宙怪獣にいたっては、コミュニケーションはまったくとれない理解不能な存在であり
なぜ人類を攻めてくるのかさえわからないまま戦わなくてはならないのです。
この設定は斬新でしたが、裏を返せば『ゴジラ』や『ウルトラマン』の怪獣と同じなんですね。
バルタン星人やメカゴジラのブラックホール第3星人やキングギドラのX星人などは
コミュニケーションがとれるので侵略目的もわかるわけですが、怪獣の場合は大半が意思疎通できません。
おそらく制作スタッフが怪獣映画世代とかぶるために、アニメにも怪獣が登場したようですが
コミュニケーション不可能な圧倒的な力としてだけの敵役はどんどん拡がっていきました。
そして、その最も有名な作品は『トップをねらえ!』と同じガイナックスで作られた
『新世紀エヴァンゲリオン』となるわけですね。
エヴァの使徒はキリスト教的な風味をつけていますが、これは「怪獣」そのものです。
目的不明にして圧倒的な力、コミュニケーション不能の存在なのです。
そして、このトレンドが1990年代後半から現在までつづいている状態です。

実際、物語を創作するうえで「意思疎通のできない敵」というのは厄介です。
お約束のライバル関係とか、人間対人間であることゆえの葛藤が描けないんですね。
具体的には少年ジャンプのような少年漫画的バトルをすべて放棄しないといけなくなるわけです。
そして人間関係は事実上味方内だけで完結してしまうため物語を拡げるのが難しいのです。
逆に考えれば、より深く主要キャラの日常的な関係や感情的なものを深く描けるというメリットもあり
怪獣型敵役がいまもよく見かけるのは、そういった特性を活かしてのことなのでしょう。

しかし小説媒体は会話が主体ですから「話せない」敵というのは、とても扱いですよね。
ゆえに怪獣は映画など映像作品によってもっとも輝く素材だったわけです。
それでも上に挙げたメリットのために会話不能な敵を登場させる小説も少なからずでてきました。
とはいえ、そのメリットとデメリットをよく理解したうえで登場させないと
まったく盛りあがらない作品になってしまうので、よくよく注意してください。
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