L'Anovelién

UNO=日昌晶

Author:UNO=日昌晶
日昌晶(ひよしあきら)
小説家にして作家デビュー請負人、ストーリーコミュニケーションコンサルタント
原稿執筆や講演・講義、オタクビジネス・マーケティングのコンサルティングまで幅広く活躍中!
 unokyokai@gmail.com

SEARCH

CONTENTS
LATEST
LINK
BOOKS

RSS
COUNTER

ライトノベル創作教室ラノベりあん 中二病でも書けるライトノベル教室♪

小説の楽しい書き方講座ブログ 毎週開催の創作塾と連動中!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

有川浩『キケン』にみる男子的青春に憧れる女子の図

ベストセラー作家の有川浩の描く『キケン』は理系大学の文化系サークルを舞台とした作品です。

私のような男性視点で読んでしまうと、この物語の内容は特に意外性はありません。
なぜかというと、そのまま自分の青春時代にやっていたことをなぞっているだけなんですよね。
演出上、多少表現はオーバーに描いていますが、そこにあるのはかなりリアルな話なのです。
作者の夫の体験談を基にした作品というのも頷けます。

主要エピソードは少年サッカーや少年野球からはじまる体育会系を歩んでいかなければ少年がほぼ必ず通る道、
たとえばサークルの部室に一日中目的もなく入り浸ってみたり、夜通し酒を飲んで自堕落に過ごすとか
あるいは花火の火薬で爆弾を作ったり、銃を作ったり、学祭ではじけたりなんていう男子的日常ストーリーです。

かくいう私も小学3年生のころには放課後に友達数人と連れだって空き地にいって
いらなくなったプラモに爆竹を仕込んで爆破することからはじまり、ロケット花火を撃ちあって戦争したり
中学生のときには鉄パイプに爆竹とBB弾をつめて即席銃なんか作って試射してみたりね。
もう時効かと思いますが、この爆竹銃の威力は数メートル離れた厚さ2センチの板を貫通できましたからね。
これをサバイバルゲームの決戦兵器として実戦投入してよく人が怪我しなかったと思いますよ……
威力は絶大でも当たるとやばいのはわかっていたので、狙いを逸らしていたため威嚇以上の効果はなく
実際に有効だったのはエアガンの銃口に火の着いた爆竹を入れて即発射する簡易グレネードランチャーでしたけど。
敵の至近距離の空中でうまいぐあいに爆発すると、それはもう効果抜群でしたw
他にもガトリングガンとかミサイルとか有線誘導魚雷とか設計まではしてましたが
お子様の資金力では材料がそろわず、8連装爆竹銃以上の兵器は実現しなかったなぁと。

あと高校大学になると文化祭や学園祭とか各種イベントで無理無謀な集客に命を賭けたりもしたりしながら
文化祭で客引きした女子高生をナンパすることも忘れず、さらにお約束のようにひっかけた女の子を
ちゃっかり部長ら上級生に持ってかれてしまうとか破壊系青春だけでなく
うれしはずかし桃色系青春にも勤しんでいたこともふと思い出してしまいました。

ということで『キケン』は普通に男の子をやっていたら、たいていやっていたくだらないリアルなエピソードを
女性作者からの視点で構成して青春小説にしてしまったって感が強いなと。
それにしても意外だったのは、てっきり女子にはバカにされていたとばかり思っていたんですが
どうもこういう男子の世界って一種の憧れをもって見られていたようです。
興味があるなら、あのころ当時の私に言ってもらえたら、よろこんで仲間に加えたのに――

あと『キケン』を読んで、どうもちょっとものたりないなと思ってしまったのですが
よくよく考えると男子の本能的な行動原理についての理解が弱いなってことに気づいたんですよね。
同じく文化系サークルものの傑作として知られる漫画『究極超人あ~る』にあって『キケン』にないもの、
それは「どうでもいい勝利に対するこだわり」なんですよね。
男子には大会や競争に勝つとかだけじゃない、本当にどうでもいいくだらない些細なことに対してでも
優劣をつけ、勝ちを意識するという不思議な習性があるんですが、そこのところの演出が弱いので
なんとなくこの作品に描かれる世界観に違和感を感じてしまったように思います。
その点、『究極超人あ~る』だと作者のゆうきまさみは男性なので、そこのところは鳥坂先輩というキャラを使って
非常にわかりやすくカリカチュアライズされていたんですけど、
同様の立ち位置にある『キケン』の上野には勝利に対する執着が薄味で女性ウケしやすくなってましたね。

女性読者には知られざる男子の聖域の話、男性読者にはなつかしいあるある話という
読み手によって印象や感想ががらっと変わるなんともおもしろみのある作品でしたね。
自分(あるいは友人知人)の昔話を小説のネタにというのは、よくある話ではありますが
演出さえまちがえなければ非常にオリジナリティあふれる良作になる可能性が高いですから
こういうタイプの作品を描いてみるのもチャレンジだと思いますよ。

関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://lanovelien.blog121.fc2.com/tb.php/918-ebe137b5

HOME
広告:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。